日本食品科学工学会誌
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43 巻, 3 号
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  • 相良 泰行
    1996 年 43 巻 3 号 p. 215-224
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
  • 酢酸の抗菌機作に関する研究(第3報)
    前橋 健二, 山本 泰, 東 和男, 好井 久雄
    1996 年 43 巻 3 号 p. 225-230
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    酢酸の酵母に対する呼吸阻害作用機作の解明を目的として,Debaryomyces hansenii NRIC 1501を用いて菌体内への酢酸の移行,TCAサイクル関連有機酸量及び関連酵素活性に及ぼす酢酸の影響について検討した.
    (1) 0.2M酢酸添加培地(pH 5.0)中で30分間培養後の菌体内酢酸量は生理的濃度(0.15mg/g dry cells)の約20倍に増加し,酢酸の菌体内への移行・蓄積が確認された.
    (2) 酢酸添加培地での培養における菌体内及び培地中のTCAサイクル関連有機酸量は,いずれも対照に比べて低いレベルにあった.
    (3) 200mM酢酸によってIsocitrate dehydrogenase, Malate dehydrogenase, OGDHC, PDHCが阻害された.特にPDHCは酢酸に対する感受性が極めて高く,0.2mM酢酸によって完全に阻害された.
    これらの結果から,酢酸の一次的阻害部位はPDHCにあると推定され,菌体内に移行し蓄積した多量の酢酸がPDHCを阻害することによりTCAサイクル有機酸の減少や生育の低下が引き起こされるものと考えられた.
  • 竹山 恵美子, 横川 延世, 谷村 顕雄
    1996 年 43 巻 3 号 p. 231-237
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    食物繊維の加熱による影響を知るたあに,生および乾熱大豆を用い,その多糖類組成を調べると共に,生理的効果の一つである金属吸着能についてアルミニウムイオンを用いて実験を行った.
    脱皮大豆細胞壁多糖の構成は,生・乾熱大豆ともにヘミセルロース区分が最も多く,次いでペクチン質区分,セルロース区分の順であった.粗多糖の収量は生に比べ乾熱大豆で高く,またペクチン質区分,ヘミセルロース区分では,乾熱大豆でより低分子していた.またイオン交換クロマトグラフィーによる分離の結果,生大豆は主として酸性側,乾熱大豆は中性側の多糖で構成されることが認められた.多糖を加水分解後HPLCで測定したところ,構成糖は多い順にガラクトース,次いでアラビノースまたはウロン酸であった.また,ペクチン質区分1(熱水抽出)のみガラクトースよりアラビノースの割合が高く,これらの傾向は生・乾熱大豆ともに違いは認められなかった.乾熱大豆では生大豆に比べてガラクトースの割合が多かった.
    一方,アルミニウムイオンを用いた吸着能の実験から,大豆種実から分画抽出した多糖の吸着能は,ペクチン質区分1で最も高く,次いでペクチン質区分2(シュウ酸アンモニウム溶液抽出),ヘミセルロース区分1(水酸化ナトリウム溶液抽出)の順であることが明らかになった.なおその吸着量は生大豆が乾熱大豆の約10倍と高かった.一方ヘミセルロース区分2(水酸化カリウム溶液抽出),セルロース区分では,生・乾熱大豆ともにほとんどアルミニウムイオン吸着は認められなかった.また種皮のペクチン質区分でのアルミニウムイオン吸着力は種実の10%前後とかなり低かった.大豆種実から抽出した水溶性食物繊維(SDF)は各分画多糖より高いアルミニウムイオン吸着を示したが,加熱により緩やかな低下が見られ,吸着量は生,乾熱,蒸煮の順であった.
  • 中谷 文子, 辻 昭二郎
    1996 年 43 巻 3 号 p. 238-246
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    輸入米を含めた7種の米の食味と関連する米飯の物性を炊飯条件を変えて測定し解析した.
    測定はテンシプレッサーボーイを用いて修正2バイト多重バイト(4つの変形率で測定)試験法による新しい試験法で行った.
    (1) 典型的なインディカ米であるタイ米も最適の加水量で電子レンジ加圧炊飯すると,日本型米に近いやわらかい食感の米飯が得られた.これは測定したパラメーターの数字および官能検査でも確かめられた.
    (2) 食味が劣るといわれている輸入米の中国米,カリフォルニア米,オーストラリア米も炊飯条件によってはコシヒカリよりもやわらかい米飯が得られ,また,加水量を増加させると食味と関連する物性が大きく改善されることが示された.このことは官能検査でも確かめられた.
    (3) 本法独自のパラメーターである,修正2バイト法による第1バイトと第2バイトのプランジャーの仕事量の比も,炊飯条件を変えた各種の米飯の食感の差を比較するのに有用であった.最も食味のよいコシヒカリの米飯はこの比の値が最も小さかった.
    (4) 米飯粒の40%と80%バイトのパラメーターを比較すると,米飯粒の表層部と内層部の物性の米質や炊飯条件による変化の差を比較検討できる.
    (5) 米の食味品質と関係があるとされるバランス度は加水量が変わると変化した.したがって,バランス度の比較はそれぞれの米の最適の炊飯条件で比較する必要がある.米飯の粘りを改善するため,タイうるち米にタイもち米を半々に混ぜて最適の炊飯条件で炊飯した米飯は,日本産の日本型米に匹敵するやわらかい食感の粘りがある米飯が得られた.この米飯のバランス度をそれぞれの米飯のバランス度から計算するとコシヒカリよりはわずかに低かったが,岡山産の朝日よりは高かった.
    (6) 加水量や炊飯方法の異なる米飯の放置にともなう物性変化の差を中国産の日本型米について試験したが,これらの変化も上記の特性値で明瞭に示された.
  • 鵜飼 暢雄, 中村 浩子, 呂 毅, 衛藤 英男, 伊奈 和夫, 大嶋 俊二, 小嶋 文博, 坂本 秀樹, 石黒 幸雄
    1996 年 43 巻 3 号 p. 247-250
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    リコペンのデキストリンによるエマルジョン化とグルテンによる安定化およびサイクロデキストリンの包接による水溶化と各種添加物による安定化を検討した.
    (1) リコペンにアラビアガム,デキストリンおよびグリセロールを加えることによってエマルジョン化した.このエマルジョンはグルテンの添加によって安定化された.色調は橙色であった.
    (2) リコペンをサイクロデキストリンに包接した.このコンプレックスは,水に可溶であり分散性も良好であった.色調は赤色でありリコペン本来の色を呈した.
    (3) α-, β-, γ-の3種のサイクロデキストリンのうちγ-サイクロデキストリンが最も安定性が高かった.リコペンとサイクロデキストリンのモル比が1:200である時,包接率が100%となった.
    (4) リコペン-CDコンプレックス中のリコペンは水溶液中で,アスコルビン酸およびグルテンによって安定化され,特にグルテン添加の効果が大きかった.
  • 中西 謙二, 桑原 正章
    1996 年 43 巻 3 号 p. 251-258
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    チロシン分解酵素を有する乳酸菌を利用したタケノコチロシンの分解技術を開発する目的で,チロシン分解乳酸菌のスクリーニングを行い,分離菌によるタケノコチロシンの分解方法について検討した結果つぎの知見を得た.
    乳酸菌35株からチロシン分解活性を有する乳酸菌7株を分離した.この中でEnterococcus sp. 4株及びLactococcus lactis subsp. cremoris IFO 3427株に強い分解活性が認められた.Enterococcus faecalis IFO 3971株を添加培養することにより,スライスタケノコで2日間,1/2切断の場合は5日間で肉眼的に認められない程度に白色固形物は分解された.また,Lactococcus lactis subsp. cremoris IFO 3427株についても同等の結果が得られた.
    乳酸発酵にともなう成分変化は,乳酸と酢酸の増加及び糖の減少は大きかったが,他の成分については大きな変化は認められなかった.
  • 中西 謙二, 田村 啓敏, 杉沢 博
    1996 年 43 巻 3 号 p. 259-266
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    生タケノコ及び水煮タケノコの揮発成分を明らかにするため,ヘッドスペース法(HSV法)と溶媒抽出法により揮発成分を分離濃縮し,GC及びGC-MS分析を行った.
    得られた濃縮物は,HSV法が軽い広がりのある香り,溶媒抽出法が濃厚な重い香りを示し,いずれもタケノコの特徴を呈していた.
    HSV法では生タケノコから23種,水煮タケノコから31種の化合物を,溶媒抽出法ではそれぞれ70種,60種の化合物を同定又は推定した.
    生タケノコの主要な揮発成分は低沸点部では直鎖状C6アルコール及びアルデヒド類であり,高沸点部ではサリチル酸エステル類であった.
    水煮タケノコについては,低沸点部が硫化メチル,3-メチルフランで高沸点部が芳香族のアルデヒド,アルコール及び窒素化合物であった.
  • 乾燥コンブの調味成分による軟化に関する研究(第4報)
    中川 禎人, 奥田 弘枝
    1996 年 43 巻 3 号 p. 267-274
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    アルギン酸カルシウムからのカルシウム脱離に及ぼす有機酸,食塩,アミノ酸および糖の影響について検討した.
    (1) 調味成分の種類,濃度に関係なく,Ca-Algを0~90℃で浸漬すると,数分以内にカルシウムが急速に脱離した.
    (2) 酢酸,乳酸,コハク酸,リンゴ酸,酒石酸,クエン酸,NaClおよびGlu-Naのカルシウム脱離率は,0.2Mまでは急速に,1Mまでは緩慢に増加し,1M以上で一定に達した.GlyおよびAlaの場合は,1Mまで緩慢に,Glyは1M以上で急速に増加した.
    (3) 平衡に達したときの脱離率は,乳酸,リンゴ酸,酒石酸,クエン酸,NaClおよびGlu-Naでは90~100%,酢酸およびコハク酸では約65%であった.Sucと対照(水)の場合は5%以下であった.
    (4) 低濃度域(0.4Mまで)での脱離速度は,酒石酸〓クエン酸>リンゴ酸>乳酸>Glu-Na>NaCl〓コハク酸>酢酸>Ala>Gly〓Sucであった.
    (5) 脱離率変化に及ぼす浸漬温度の影響は,調味成分の種類に関係なく,濃度が高くなるにつれて大きくなったが,変化の度合いはそれほど大きくなかった.
    (6) カルシウムイオンとの交換選択係数は,0.2Mまでにおいては有機酸の解離定数に比例した.Glu-Naの交換選択係数は,NaClより著しく大きかった.
  • 浅野 正博, 城田 浩治, 阿南 豊正, 山庄司 志朗, 一色 賢司
    1996 年 43 巻 3 号 p. 275-280
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    (1) トマチンのバイオアッセイ法の確立を目的として数種類の動物培養細胞について検討を行った.供試細胞のうち接着細胞のHepG 2, HuH 6KK, NIH 3T 3は,アッセイに適していたが,浮遊細胞のU937, HL 60は不適であった.
    (2) トマチンのアッセイについてはアラマーブルー法,化学発光法,MTT法,WST-1法等を検討した.その結果,HepG 2細胞と化学発光法の組み合わせが優れていることが明らかになり,トマチンを感度良く短時間で検出できた.
    (3) 化学発光法によりトマト果実(桃太郎)中のトマチンの定量を試みた結果,未熟果実からは353mg/kg新鮮組織重量,成熟果実からは5.42mg/kg新鮮組織重量のトマチンが検出された.また,着果後3, 6, 8週目のトマトを測定し,成熟するにつれてトマチン含量が減少することを確認した.
    (4) 品種別には,原種に近いL. peruvianumL.hirsutumから高濃度のトマチンが検出された.
    (5) 供試した遺伝子組換えトマトと非組換えトマトのトマチン含有量の差は認められず,その濃度は栽培品種と同レベルであった.
  • 乾燥昆布の調味成分による軟化に関する研究(第7報)
    中川 禎人, 奥田 弘枝
    1996 年 43 巻 3 号 p. 281-287
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    昆布加工工程で使われる乳酸,NaClあるいはSucを含むモデル調味液に浸漬し加熱した昆布の細胞壁構成物質をCRONSHAWらの方法で分画し,それらの物理化学的性状について調べた.
    (1) 各溶液中で浸漬加熱した昆布の重量減少率は,軟化が著しい乳酸区およびNaCl区で大きかった.また,乳酸区およびNaCl区の場合,水で抽出除去される細胞壁構成物質の比率が大きく,したがって,この後に分画されるアルカリ不溶性画分およびα-セルロース画分の比率は相対的に大きくなった.
    (2) 各画分の吸水能は,出発物質では,Suc区やNaCl区が大きく,乳酸区は小さかった.α-セルロース画分では,昆布の軟化が著しい乳酸区やNaCl区が小さかった.
    (3) いずれのα-セルロース画分も,典型的な微結晶セルロースと同じX線回折パターンを示した.
    (4) α-セルロース画分のセルロース溶媒Cadoxenに対する溶解性およびセルラーゼによる分解性は,昆布の軟化が著しい乳酸区やNaCl区が大きかった.
  • 李 金花, 三浦 靖, 種谷 真一
    1996 年 43 巻 3 号 p. 288-298
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    日本,中国,米国産の大豆を用いて,浸漬温度と静水圧を変えて吸水実験を行い,吸水に関し速度論的に解析し,吸水機構にも触れた.
    1) 日本,中国産大豆は,米国産に比べ吸水し易く,したがって,平衡吸水量も大きい.平衡吸水量は,浸漬温度によって,米国産は変わらないが,浸漬温度の高いほど低くなった.
    2) 大豆の吸水による膨潤は,浸漬前後の大豆粒の短軸比の平均値が1.21,長軸比の平均値が1.73であって,どの大豆も長軸方向に膨潤し易い.
    3) 吸水量はで表される.ここで,m=(C-C0)/(C-C0) (Co:初期重量,C:平衡吸水重量,C:浸漬時間tにおける吸水重量),kは吸水速度定数,αは吸水の補正係数である.
    4) 吸水速度定数k,吸水補正係数αは,浸漬温度T(絶対温度),絶対圧力Pとの関数として,次のように表される.
    ここで,A′, ΔE′, A, B, C, D,は定数で,Rgはガス定数である.ΔEは吸水の見掛けの活性化エネルギーである.
    5) 各国大豆の吸水に関する見掛けの活性化エネルギーは,温度範囲20~40℃でそれぞれ4.7(日本),
  • 村松 良樹, 田川 彰男, 北村 豊, 田中 親紀
    1996 年 43 巻 3 号 p. 299-305
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    6~40% (w/w)の可溶固形分濃度に調製した粉乳溶液の水蒸気圧,密度,動粘度をそれぞれ測定した.蒸気圧は静的方法により10~60℃の温度で,密度はピクノメータ法,動粘度はウベローデ粘度計を用い,0~60℃の温度で測定した.
    測定結果を考察し,以下の結論を得た.
    (1) 粉乳溶液の蒸気圧と温度の関係は,6~30%程の濃度まではClapeyronの式で充分精度良く表すことができた.また,それ以上の高濃度では,Clapeyronの式に温度補正項を加えたAntoineの式が適当である.
    (2) 粉乳溶液の密度と温度の関係は,Alfredの式に良く適合した.密度と動粘度の測定結果から算出した粉乳溶液の粘度と温度の関係は,20%程度まではAndradeの式で表すことができるが,高濃度になるとAndradeの式に温度補正項を加えた式を用いるのが適当である.
    (3) 同型である蒸気圧と温度,粘度と温度の相関式から,蒸気圧と粘度の相関式を導き,蒸気圧と粘度との間の関係を調べた.その結果,粉乳溶液において蒸気圧と粘度との間には,次の関係が成り立つことがわかった.
    これから,比較的容易に得ることができる粘度の値から蒸気圧を推定することが可能である.
  • 山田 浩司, 野口 明徳, 高橋 秀和
    1996 年 43 巻 3 号 p. 306-312
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    ゼインの溶液およびフィルムについて,アルコール系とアセトン系との比較を,レーザー散乱型粒度分布測定装置,FT-SEM, FT-NMR,赤外吸収スペクトル,CD, SAXSを用いて行った.その結果,ゼインフィルムの耐水性の有無については次のモデルを提唱できると考える.アセトン系とエタノール系ではゼイン分子の集合状態が明らかに異なり,アセトン溶液中では,分子表面に疎水性アミノ酸がより多く分布していたために分子間の相互作用が強い.そのため一旦分子同志が集合し始めると,その速度および結合力はエタノール系に比べて大きく,集合体の稠密度も高い.この凝集過程において構築される構造体がフィルム形成の最小単位と考えられ,したがって,アセトン系フィルムは水と接した場合,水との作用に抗して構造を維持する力が大きく,且つ水と馴染み易い領域の少ない構造状態となる.そのため,可撓性はやや低い値をとるが,水に対する抵抗性は大きな値を示すようになる.
  • 下園 英俊, 小堀 真珠子, 新本 洋士, 津志田 藤二郎
    1996 年 43 巻 3 号 p. 313-317
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    加熱調理したサッマイモからエタノール抽出物を調製し,マウスメラノーマB 16細胞に対するメラニン生成抑制効果とその活性成分の分離精製について検討し,次のような結果を得た.
    (1) サツマイモ抽出物はマウスメラノーマB 16細胞に対して,メラニン生成抑制作用を示した.
    (2) クロロゲン酸とイソクロロゲン酸異性体はともにマウスメラノーマB 16細胞に対して,メラニン生成抑制作用を示し,その効果はすべて同程度であった.
    (3) サツマイモ抽出物のメラニン生成抑制作用の98%がクロロゲン酸及びイソクロロゲン酸類に由来するものであることがわかった.
  • 須見 洋行, 矢田貝 智恵子, 松原 主典
    1996 年 43 巻 3 号 p. 318-321
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    7種類の市販キノコに湿重量の10倍容量の蒸留水あるいは生理的食塩水を加え,均質化し,各々から得られた水可溶分画が持つ抗血小板凝集活性を比較検討した.その結果,特にヒラタケ(Pleurotus ostreatus)及びシイタケ(Lentinus edodes)には,反応系(220×106血小板/ml)に対して1/40容量の抽出液を添加するだけで,ADP,コラーゲンあるいはトロンビンによる血小板の第一次及び第二次凝集反応を50%以上阻害する強い活性 のあることが分かった.これら黄褐色の抽出液が持っ,強い抗血小板凝集活性は100℃, 1時間の加熱処理でも90%以上残存することが分かった.
    18~37才の6人のボランティアにこのヒラタケ抽出液の凍結乾燥品(ASK-0P)を体重(kg)当り500mg経口投与してみた.その結果,投与後1~3時間目に血小板凝集活性が低下すること,また一方EFA及びt-PAで測定した血中線溶能も充進することが確認された.
  • 沖縄におけるとうふようの製造に関する研究(第11報)
    安田 正昭, 金城 さきえ, 三木 英三
    1996 年 43 巻 3 号 p. 322-327
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    紅麹,黄麹及び両者を併用した混合麹で調製したとうふようの熟成過程における物性と組織構造の変化について検討した.
    (1) 熟成過程でとうふようの破断応力,破断エネルギーは減少した.
    (2) とうふようの各粘弾性係数は熟成時間の経過に伴い減少した.熟成90日目におけるとうふようの各粘弾性係数は,クリームチーズかあるいは軟質型のプロセスチーズに類似あるいは近似した値を示した.
    (3) とうふようの微細構造を電子顕微鏡で観察した結果,脂肪球のところどころで結合しているタンパク質の網目構造が観察された.とうふようのボディーを形成しているタンパク質は,熟成過程で太い繊維状から小さな粒子が連結した構造に変化した.
  • 川村 周三, 夏賀 元康, 河野 慎一, 伊藤 和彦
    1996 年 43 巻 3 号 p. 328-332
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    カリフォルニア産あきたこまち,コシヒカリ,ササニシキの食味を,国内産米の同一品種を比較対照として,調査した.その結果,次のことが認あられた.
    (1) 理化学的特性においてカリフォルニア産米は,玄米の整粒が少なく,精白米の透光度が低く,タンパク質含量が低く,ヨード呈色度が大きかった.
    (2) カリフォルニア産米は精白米と炊飯米の外観が悪く,香りが悪く,粘りが弱く,その結果,総合評価が悪かった.
    (3) 供試したカリフォルニア産米の食味評価が低かった原因は栽培条件にあると考えられた.
  • 岡村 徳光, 野田 裕子, 星野 由紀子, 寒川 恵美, 上杉 誓子, 毛利 明子, 大杉 匡弘
    1996 年 43 巻 3 号 p. 333-335
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    Pleurotusは,食用きのことしてよく知られており,これら担子菌の人工栽培には,農業及び工業生産廃棄物が栄養剤として用いられている.そこで,日本酒製造の副産物である酒粕を人工栽培に利用することを目的として本研究を行った.オガコとして,ブナ,スギを用い,栄養剤として米ぬか,ふすま,酒粕を用いた.酒粕は,P. ostreatusの人工栽培において顕著な生育促進効果を示した.子実体発生操作10日後の収量は,スギ,ブナのいずれのオガコにもかかわらず,栄養剤として,米ぬかあるいはふすまを用いた場合,湿潤培地重量の4.3%であったのに対し,それぞれの培地に酒粕を加えると著しく収率が高まり,ふすまと酒粕を含んだ培地では27.1%に達した.
  • 茶珍 和雄
    1996 年 43 巻 3 号 p. 336-337
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
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