日本食品科学工学会誌
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とうもろこし油の水素添加反応に及ぼす窒素ガスの影響
食用油脂の新規な水素添加(第2報)
武谷 宏二川成 真美小西 寛昭中島 一郎冨士川 計吉
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1996 年 43 巻 4 号 p. 417-422

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抄録

本報告を次のように要約した.
(1) とうもろこし油の水添反応における窒素付与の効果は,水添度に対しては,大豆油の場合と同様に水素圧力と反応時間の因子が強く影響を及ぼした.特に,水素圧力が低いときは,窒素圧力を高めると反応が阻害されて水添度は低い値を示したのに対し,水素圧力が高い時に窒素圧力を高めると,逆に反応が促進されて水添度は高い値を示した.
(2) トランス価は,窒素付与による影響を受けず,水素圧力を高めるか,反応時間を長くすることにより減少した.
(3) 大豆油の水添反応において導出した,窒素圧力項を考慮した反応速度の実験式は,実験値との良好な一致を確認することにより,とうもろこし油の水添反応に及ぼす窒素付与の効果についても良く説明できることが判った.
(4) 水添油脂試料による窒素付与効果を比較した結果,とうもろこし油および大豆油の脂肪酸組成と反応速度実験式中のパラメータ値の対比から,窒素はリノレン酸やリノール酸の水添反応を選択的に促進,または抑制するものと考えられた.また,窒素圧力の影響を受けない時の水素圧力は,個々の油脂の反応速度を反映して,反応速度が小さいほど高くなることが推定された.

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