1996 年 43 巻 7 号 p. 806-811
ミルク入り飲料での起泡阻止を目的に,起泡モデル液としてカゼイン溶液を選び,分散剤であるPの共存の有無によるLの消泡剤としての効果を界面化学的に理解するため,静的表面張力,動的表面張力およびLの粒子径から検討し,以下のことがわかった.
(1) Pの界面への吸着速度は水(P)の場合よりもカゼイン(P)の場合の方が速くなる.
(2) カゼイン溶液でLはPを介して吸着速度が速められ,界面でカゼインとLとPは何らかの複合体を形成していることが示唆される.
(3) Lの界面への吸着速度はPの濃度が一定の場合,その粒子径が大きくなるにしたがって速くなる.
(4) 気泡生成時間の下限値(0.83秒)での動的表面張力と泡立ち量との間に相関があり,消泡パラメータとして動的表面張力の値は有効である.