日本食品科学工学会誌
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ダイズ太もやしの品質と収量に及ぼす植物ホルモン混合溶液浸漬処理の影響
田尻 尚士
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1997 年 44 巻 11 号 p. 801-806

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抄録

ダイズ太もやしの栽培法として,植物ホルモンのオーキシン(Indole-3-Acetic Acid:IAA),サイトカイニン(Benzyl Adenine: CBA),アブシジン酸(A bscisic Acid: ABA),シベレリン(Gibberellin: GA33-Ace)tate)の4種を用いて混合溶液10ppm濃度での浸漬法による植物ホルモン混合溶液浸漬処理栽培(DMP)を試み,生長と食品物性,水分含有量,収量および表面色調より適性の有無を検討した.
DMPによるダイズ太もやしの胚軸部と根部の生長は,IA(IAA+ABA),BA(CBA+ABA)の混合によるIAA,CBA高混合下で伸長と根毛発生が抑制され,肥大と食品物性が強化され適性が認められ,有効な栽培法と判断された.
収量と水分含有量は,IG(IAA+GA3),BG(CBA+GA3)で強化され適性が認められ有効であった.
表面色調は,生長抑制の弱いIG,BGの高混合下で数値的には僅かに乳黄色を示すが,肉眼観察では差が無く異和感は認められず,抑制の強いIA,BA高混合下で適性が認められ,艶と透明感を呈して有効であった.
総合的には,DMPは単独植物ホルモン溶液浸漬処理栽培に比して適性が高く良好で有効な栽培法となった.
IA,BA-1~3(IAAおよびCBAとABAの低混合区)では,市場適性値を満たし適性を有するが,収量増加がやや弱く,浸漬処理栽培溶液濃度,期間,時間などの条件の再考が必要となった.
DMP法はダイズ太もやしの栽培には極めて有効で,とくに,BA-1~3において適性を有し,CBA高混合が良好であり,混合濃度が太もやしの全般的な生長に大きく影響することが認められた.

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