日本食品科学工学会誌
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中空糸膜モジュールによる酢酸発酵液のろ過特性
玉井 正弘丸子 修門 隆興
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1997 年 44 巻 12 号 p. 896-904

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抄録

本研究において使用してきた中空糸膜の透過流束に及ぼす菌体濃度,膜間差圧力及び循環速度の影響と付着菌体による透過流束の低下の抑制法としての逆洗操作の効果について検討すると共に,これらの結果を基にしてバイオリアクターの運転操作に必要なろ過膜面積について検討した.
(1) 両対数グラフ上で0いずれの膜間差圧力においても菌体濃度の増加により透過流束は直線的に低下し,いずれの菌体濃度においても膜間差圧力及び循環速度の増加により直線的に増加し,次式に示したように透過流束は菌体濃度,膜間差圧力及び循環速度の関数で表すことができた.J=6.33Cx-0.25ΔP0.38u0.74
(2) 最適な逆洗の操作は,60min毎に10s行うことであった.この操作条件で,逆洗操作を行うことにより,行わない場合に比較して透過流束が2倍程度向上し,菌体濃度が一定となった後は安定した透過流束でろ過を長時間にわたって継続できた.
(3) (1)の推定式を用いて計算した透過流束は,逆洗操作を行った場合の実測値に比較して常に27%程高い値となった.
(4) 同じ酢酸生産速度において,濃縮菌体の一部排出培養では,完全濃縮培養に比較して必要膜面積は1/3程度と計算された.

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