日本食品科学工学会誌
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シイタケ粉末の紫外線照射装置によるビタミンD2強化
川副 剛之湯浅 克己
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1997 年 44 巻 6 号 p. 442-446

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抄録

ビタミンD2強化シイタケ粉末を工業的に生産するために,装置及び紫外線照射方法として紫外線照射時間,紫外線照度,シイタケ粉末の粒度の影響について検討した.
製造装置は,シイタケ粉末を振動により撹拌させるために振動フィーダを用いた.本装置によりシイタケ粉末は均―な厚みに広がり,連続的に紫外線照射された.
シイタケ中のビタミンD2量は,一定原料供給量のもと紫外線照射時間に比例して増加した.よって一定量以上のビタミンD2を含有するシイタケ粉末を製造するためには,供給量の制限に加えて照射時間の延長が必要と考えられた.たとえばビタミンD2量200μg/gの強化シイタケ粉末を作製する場合,本装置における製造能力は約10kg/h弱であった.また本装置でのシイタケ中エルゴステロールのビタミンD2への変換効率を検討したところ,紫外線エネルギー量当たりのビタミンD2生成量は6.9ng/mW・secであった.粒度の影響を検討した結果,ビタミンD2量は平均粒子径が小さくなるにしたがい増加したものの増加割合は小さく,粒子の比表面積には大きな影響を受けなかった.これは本装置の振動フィーダにおいて,シイタケ粉末の撹拌が,不十分であることが一因と考えられた.

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