日本食品科学工学会誌
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44 巻, 6 号
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  • 添田 孝彦
    1997 年 44 巻 6 号 p. 393-399
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    加熱分離大豆タンパク質の冷蔵ゲル化に及ぼす乳化剤,脂肪酸およびアルコールの影響を調べた.
    1) 乳化剤による大豆タンパク質の冷蔵ゲル化抑制は乳化剤を構成する親水性部分よりも疎水性部分,特に疎水性部分が不飽和脂肪酸残基の場合に大きかった.
    2) ショ糖ステァリン酸エステルを添加した場合,そのHLB値の差異は冷蔵ゲル化に大きな影響を及ぼさなかった.
    3) 脂肪酸添加の場合,飽和脂肪酸に比べ不飽和脂肪酸は著しく冷蔵ゲル化を抑制した.
    4) アルコールは冷蔵ゲル化を有意に抑制した.しかしながら,アルコール添加ゲル間では,アルコールの種類におけるゲル強度と変形率の明確な有意差は認められなかった.
  • 安永 浩一, 戸井 学, 岡 毅, 沖坂 浩一, 横道 秀季, 安川 拓次
    1997 年 44 巻 6 号 p. 400-406
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    家庭で,揚げ物調理を行う際に発生する泡の原因および安定化機構の解析を行った.泡立ちの程度は,ポテトスライスを揚げ,その上に円柱管をかぶせた時に上がってくる泡の高さから評価した.小麦粉,卵,パン粉で処理したものを揚げると,著しく泡立つようになる.この時の泡に含有される成分の分析から,油中のリン脂質と糖脂質が増加するほど,泡立ちやすくなることが明らかになった.すなわち,卵および小麦粉から抽出されるリン脂質および糖脂質が主な原因であると考えられる.
    蛍光プローブの付いたリン脂質を油に添加した実験から,リン脂質が油と水の界面に吸着し,集合体を形成することが示された.泡膜の電子顕微鏡観察から,極性脂質の多層構造の存在が認められた.これらのことから,油表面に発生した泡が,冷却され,水が析出する際に,極性脂質が吸着し,多層膜ラメラ型構造を形成して,泡膜が安定化されることが,泡立ちの原因と推定された.
  • 恩田 匠, 乙黒 親男, 飯野 修一, 後藤 昭二
    1997 年 44 巻 6 号 p. 407-417
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    酵母により変敗した梅加工品の品質変化を調べ,さらに酵母汚染試料から酵母の分離を行い,得られた酵母菌株の同定と,その各種食塩濃度および各種pHにおける生育挙動ついて検討し,以下の結果を得た.
    (1) 酵母汚染した梅加工品は,主要成分である有機酸が減少しており,それに伴いpHが上昇していた.また,酵母汚染した梅漬は,硬度低下,あるいは組織崩壊を起こし,硬さを左右する構成ペクチンの分解が認められた.このペクチン分解にも産膜酵母が関与していることが考えられた.
    (2) 産膜汚染試料から分離した酵母25菌株は,Debaryomyces hansenii 4菌株,Pichia anomala 1菌株,Pichia membranaefaciens 3菌株,Torulaspora delbrueckii 1菌株,Candida jamata 1菌株,Candida krusei 3菌株,Candida pelliculosa 3菌株,Kloeckera apiculata2菌株,以下未同定の3菌種Candida sp. UME-A 2菌株,Candidasp. UME-B3菌株,Candida sp. UME-C 2菌株の5属11種に同定された.
    (3) 分離酵母の各種食塩濃度および各種pHにおける生育を検討した結果,P. anomala, C. famata, Candtda sp. UME-AおよびCandida sp. UME-Bと同定された菌株は食塩濃度20%のYM液体培地に良好に生育が可能な著しい耐塩性(中等度好塩性)とpH 2.0の梅酢液にも生育良好な低pH耐性を示した.
    (4) 低pH耐性を示す菌株,特にCandida sp. UME-B YITC 114株は,梅酢液中で高い有機酸の資化能を示した.これらの有機酸資化能の強い酵母が,梅漬類における主要産膜酵母であると思われた.
  • 勝田 新一郎, 山田 良司, 芳賀 厚子, 辻 啓介
    1997 年 44 巻 6 号 p. 418-423
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    We examined inhibitory effects of a sausage containing soy protein isolate on increase in serum lipid levels in 13 adult male subjects (27-62 years old) induced by high fat diet with 110% of total energy (25-30% of fat energy ratio) to the safe and adequate daily intake for each subject. Serum total cholesterol (p<0.01), free cholesterol (p<0.01), triglyceride (p<0.01) and phospholipid (p<0.05) levels were significantly decreased and HDL-cholesterol level (p<0.001) was significantly increased by the intake of the sausage (9.9g/person/day) containing soy protein isolate (about 9.9g/135 g) added to daily conventional high fat meals for 2 weeks. Daily dietary intakes of animal fat, plant fat, saturated, polyunsaturated, ω-3 and ω-6 fatty acids, cholesterol, animal protein, plant protein, carbohydrate and total energy and ratios of polyunsaturated to saturated fatty acids (P/S) and ω-6 to ω-3 fatty acids (ω-6/ω-3) were not significantly altered during test (sausage intake) period for 2 weeks and two control periods fed high fat diets for 1 week before and after the test period (p>0.05). There were no clinical findings and no remarkable change in body weight by the intake of the sausage. These results suggest that a sausage containing soy protein isolate may suppress the increase in serum total cholesterol and other lipid levels and the decrease in HDL-cholesterol level induced by high fat diet in adult male subjects.
  • 山庄司 志朗, 一色 賢司
    1997 年 44 巻 6 号 p. 424-429
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    (1) NIH/3T3細胞とビタミンK3の酸化還元反応で生じるH202の生成量の減少率から,食品および食品添加物の細胞致死性を測定することが可能であった.
    (2) エタノールや蒸留水の細胞致死性が観察されない5%容量で検査したところ,一部のアルコール飲料や非アルコール飲料は細胞致死性を示した.
    (3) 流動食品の液体を5%容量で直接培養液に添加して,細胞致死性の有無を調べることが可能であった.
    (4) 抗酸化剤や保存料の細胞致死性が4時間以内で検出された.
  • 荒木 繁, 泉野 友香, 桜井 武麿, 高橋 幸資
    1997 年 44 巻 6 号 p. 430-437
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    焼海苔の呈味性の良否を評価するための旨味の数値化への手掛かりを得るたあに,焼海苔の呈味成分としてアミノ酸と5'-ヌクレオチド類に着目し,その含量と食味テストによる味の評価値との関連性を調べた.なお,この報告で用いた試料は,九州有明海地区で生産された乾海苔で,これを培焼して焼海苔にしたものである.
    呈味成分の抽出には,焼海苔を食する状態により近似させるために,35℃の温水に短時間(30秒間)浸漬した後,その抽出液に溶出する呈味成分の量をHPLCで定量した.また,グルタミン酸と5'-イノシン酸との間には旨味の相乗効果が知られていることから,両者の積を求め,その値を1000で除した値を“味の指数”として,食味テストの評価値(旨味の評価値)との関係を調べた.
    その結果,温水抽出により焼海苔の呈味性を示す遊離アミノ酸と5'-ヌクレオチドが容易に検出された.その中で,5'-イノシン酸と旨味の評価値との間には,r=0.839という高い相関関係がみられたが,その他の個々の呈味成分との間には明らかな相関はみられなかった.また味の指数と旨味の評価値との間には,r=0.873という高い相関がみられた.このことは焼海苔の旨味が主としてグルタミン酸と5'-イノシン酸の相乗効果によることを強く示唆している,これにより,焼海苔の旨味の呈味性を数値化するための有力な手掛かりが得られた.
  • 川副 剛之, 湯浅 克己
    1997 年 44 巻 6 号 p. 438-441
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    健常人がビタミンD強化卵を摂取したときの血漿中の25(OH)D濃度を測定し,ビタミンD剤摂取時と比較検討した.健常成人男子(25~38歳)を6名ずつの2群(ビタミンD剤摂取群及びビタミンD強化卵摂取群)に分けた.ビタミンD強化卵は卵焼きとして10.8ug/日(約卵1個分),ビタミンD剤は1錠(10.8μg)/日を15日間摂取させた.ビタミンD強化卵投与群では,ビタミンD剤投与群と同様に,血漿中に25(OH)D2が検出され,ビタミンD強化卵中のビタミンD2がヒトでも吸収され代謝されることを確認した.また両群とも総25(OH)D濃度は軽度ながら増加傾向にあり,総25(OH)Dに占める25(OH)D2の割合は20%強であった.この結果から,ビタミンD剤同様,ビタミンD強化卵が健常人のビタミンDの栄養状態の向上に寄与する食品であることが示された.
  • 川副 剛之, 湯浅 克己
    1997 年 44 巻 6 号 p. 442-446
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    ビタミンD2強化シイタケ粉末を工業的に生産するために,装置及び紫外線照射方法として紫外線照射時間,紫外線照度,シイタケ粉末の粒度の影響について検討した.
    製造装置は,シイタケ粉末を振動により撹拌させるために振動フィーダを用いた.本装置によりシイタケ粉末は均―な厚みに広がり,連続的に紫外線照射された.
    シイタケ中のビタミンD2量は,一定原料供給量のもと紫外線照射時間に比例して増加した.よって一定量以上のビタミンD2を含有するシイタケ粉末を製造するためには,供給量の制限に加えて照射時間の延長が必要と考えられた.たとえばビタミンD2量200μg/gの強化シイタケ粉末を作製する場合,本装置における製造能力は約10kg/h弱であった.また本装置でのシイタケ中エルゴステロールのビタミンD2への変換効率を検討したところ,紫外線エネルギー量当たりのビタミンD2生成量は6.9ng/mW・secであった.粒度の影響を検討した結果,ビタミンD2量は平均粒子径が小さくなるにしたがい増加したものの増加割合は小さく,粒子の比表面積には大きな影響を受けなかった.これは本装置の振動フィーダにおいて,シイタケ粉末の撹拌が,不十分であることが一因と考えられた.
  • 寺門 誠致
    1997 年 44 巻 6 号 p. 447
    発行日: 1997/06/15
    公開日: 2009/05/26
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