日本食品科学工学会誌
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豆腐の食味に及ぼす大豆リポキシゲナーゼの影響
島田 和子野村 寛美原 由美藤本 房江喜多村 啓介
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1998 年 45 巻 2 号 p. 122-128

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抄録
豆腐の食味に及ぼすLOXの影響について検討するために,普通大豆とLOX欠失大豆を用いて調製した豆腐の各種成分含量と官能評価との関係について調べた.普通大豆としてスズユタカ,LOX欠失大豆として各々スズユタカを反復親として育成されたゆめゆたか(2,3欠)といちひめ(全欠)を使用した.(1) スズユタカの豆腐はいちひめ(全欠),ゆめゆたか(2,3欠)の豆腐と比べて有意に甘味が感じられた.こく味の程度はスズユタカ,いちひめ(全欠),ゆめゆたか(2,3欠)の順で感じられ,スズユタカが最もこく味があるとパネルにより判断された.不快味程度は3種の豆腐間で違いは認められなかった.(2) 豆腐中の水分含量,タンパク質含量,総脂質含量は各豆腐間において大きな差は認められなかった.(3) 甘味を呈する遊離糖のスクロース,スタキオース,ラフィノース,グルコース含量は各豆腐間において差がなかった.(4) 不快味成分であるイソフラボン組成と各含量は各豆腐間で大きな差はなかった.(5) カルボニル化合物とヘキサナールは,普通大豆スズユタカの豆腐においてLOX欠失大豆の豆腐よりも多く含まれていた.上記の他成分量に豆腐間の差はなかったことから,官能評価で認められた豆腐のこく味を示す成分の一つはLOXによる脂質酸化生成物であると推察された.さらに,脂質酸化生成物が豆腐の甘味を増強する可能性も示唆された.
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© 社団法人 日本食品科学工学会

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