抄録
筆者らは吉町1)の考えを,さらにデカンタ工程(固液分離),洗浄工程までに展開し,「いも」成分の「でん粉」,不溶分,可溶分,水分の各工程への分離移動を同定した.表3が「いも」成分の移行表であり,詳細にはそれに記載された成分因子を,37本の連立方程式に組み立てた(既知変数10個,未定方程式27本).
これを馬鈴薯「でん粉」生産構造方程式とし解析したものである.
この結果により工場搬入「いも」の4つの組成,「マサイ率」が指定されると,デカンタ排液量,生でん粉量,生粕量,セパレータ排水量を算定できることが明らかになった.本方法により,従来経験的になりがちであった工程管理改善に資するものと期待する.馬鈴薯については,最近含でん率の高い品種「コナフブキ」が入荷されるようになり,工場の生産収量も増加しつつある.
なお,図1に示された如く,ブリュームと呼ばれる「いも」の流送,土砂洗浄水が,その10倍量消費される.ハイドロサイクロンの節水及びこれらの用水を含めた全貌についての解析は,次報で述べたい.