不飽和脂肪酸の加熱分解と揮発性アルデヒド生成に及ぼすトレハロース添加の影響について検討した.(1) トレハロース添加系の不飽和脂肪酸残存量は,a-リノレン酸では66.6mg,リノール酸では77.7mg,オレイン酸では85.3mgであり,糖質無添加系より高い値であった.糖アルコールであるマルチトール添加系の不飽和脂肪酸残存量も,トレハロース添加系と同様,糖質無添加系より高い値であった.(2) a-リノレン酸加熱後の気相中揮発性アルデヒド濃度は,トレハロース添加系およびマルチトール添加系で著しく減少した.またリノール酸からの2,4-デカジェナール生成においても,トレハロース添加系およびマルチトール添加系で気相中濃度が著しく減少した.以上の結果から,トレハロースは,加熱による不飽和脂肪酸分解と揮発性アルデヒド生成を抑制することが明らかになった.