日本食品科学工学会誌
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凍結・融解による温州ミカンパルプ中のカロテノイド高濃度化
隅田 孝司東 誠広浜田 智小川 浩史多田 幹郎
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1999 年 46 巻 12 号 p. 833-838

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抄録

温州ミカン搾汁液から調製した高カロテノイド含有パルプに含まれるカロテノイドの高濃度化を目的として,FT処理について検討した.FT処理により,パルプの固液分離特性はあまり改善されなかった.これはパルプに含まれる可溶性固形物が原因と考えられる.そこで,市販ペクチナーゼ10種をそれぞれ0.1%添加してFT処理を行った結果,8種の酵素はE処理と同等又はそれ以上に脱水効率を高め,沈降物中のカロテノイドを高濃度化した.この効果は,FT処理によるパルプの凝集作用と,低温下での酵素作用の相乗効果と考えられる.ペクチナーゼを添加したFT処理は,温州ミカンの搾汁繁忙期以外での処理が可能であり,操作も容易なことから,実用面で有用な処理方法と考えられる.

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