日本食品科学工学会誌
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モロヘイヤ中のストロファンチジンおよびジギトキシゲニンのGC/MSによる分析法の検討
山喜 秀昭野中 章弘谷 守隆渡辺 三明
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1999 年 46 巻 4 号 p. 255-261

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抄録

モロヘイヤ種子に含まれる強心配糖体のアグリコンであるSPおよびDGをTMS誘導体化後,GC/MSで同時分析する方法を検討し,本法を用いてモロヘイヤの種子および加工食品の分析を行った.
(1) SPおよびDGのそれぞれのTMS誘導体化により生成したすべての誘導体のマススペクトルから分子イオンおよび特徴的な共通のフラグメントイオンピークが観察され,マススペクトルの解析からDG(TMS)2,DG(TMS)3,SP(TMS)3およびSP(TMS)4の生成を確認した.SPからSP(TMS)4へのTMS化およびDGからDG(TMS)3へのTMS化がほぼ完了するのに100℃で20時間を要した.
(2) モロヘイヤの種子および加工食品は,試料を直接1%硫酸-メタノール(1:1,V/V)溶液で加水分解した後にジクロロメタンで抽出したものをSPおよびDGの分析試料とした.調製した試料を減圧乾固後,100℃で20時間TMS化した.得られたTMS誘導体のSP(TMS)4およびDG(TMS)3はGC/SIMにより測定した.これらの条件では,モロヘイヤの種子および加工食品共に,妨害成分の影響の少ないマススペクトルが得られ,SPおよびDGが精度よく定性定量できることを確認した.検出限界はSPに関して5mg/kg,DGに関して1mg/kgであった.
(3) 本法により,モロヘイヤの種子からSPおよびDGが共に検出され,それらの含有量はSP(5.9~6.2g/kg)がDG(0.15~0.24g/kg)と比較して多量に存在した.一方,モロヘイヤの加工食品中からは,SPおよびDGは共に検出されなかった.

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