日本食品科学工学会誌
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嫌気-好気交互処理による茶葉のγ-アミノ酪酸量の増加
沢井 祐典許斐 健一小高 保喜吉冨 均山口 優一深山 大介竹内 敦子
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1999 年 46 巻 7 号 p. 462-466

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抄録

茶葉において,嫌気処理と好気処理を組み合わせることにより,GABA含量をより高めるための検討を行った.
(1) 通常の嫌気処理では,GABAは,グルタミン酸脱炭酸酵素によって,グルタミン酸から脱炭酸されて生じるが,GABA含量は嫌気処理初期に顕著に増加し,あとの増加率は低い.
(2) 嫌気処理を3時間行い,GABAが充分生じたところで好気処理に転じ,1,2,3時間行うと,GABA含量は漸減したものの,その程度はわずかであった.それに対してグルタミン酸は,好気処理1時間で著しく増加した.
(3) そこで再び嫌気処理に戻して3時間行うと,蓄積していたグルタミン酸はGABAに変化し,GABA増加量は,嫌気処理のみの方法と比較して,1.5倍強にのぼった,好気処理1,2,3時間区では,1時間区が最終的なGABA増加量で最も高くなった.従って,嫌気処理を3時間行い,続いて好気処理1時間を行い,さらに嫌気処理を3時間行うことによって,従来不可能であった程度までGABAを高含有させた茶を生産することが可能となった.
(4) 好気処理1時間をはさみ03時間の嫌気処理を4回繰り返していくと,グルタミン酸含量はその都度恢復を示し,GABA増加量は,嫌気処理のみの方法と比較して,233倍にのぼった,よって,この処理は反復することによりその効果が大になると考えられる.

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