日本食品科学工学会誌
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間接加熱法および直接加熱法により殺菌したUHT牛乳の官能特性
UHT牛乳の官能特性および物理化学的性状に関する研究(第4報)
岩附 慧二今野 隆道溝田 泰達外山 一吉住 正宏冨田 守
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2000 年 47 巻 11 号 p. 844-850

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抄録
UHT殺菌法の違いによる牛乳の官能特性への影響を検討することを目的に,間接加熱法および直接加熱法によりUHT牛乳を調製し,専門パネルおよび主婦パネルによる官能評価を行った.
(1) UHT殺菌法の違いによる牛乳の物理化学的性状への影響は,インジェクション殺菌法<インフユージョン殺菌法<プレート式殺菌法の順に大きくなった.加熱の程度を推測する指標としては乳清蛋白質変性率およびレンネッタビリティーが適当であったが,今回のUHT殺菌ではラクチュロース量も指標になり得る可能性があった.
(2) 風味の属性評価およびこれらの主成分分析の結果,プレート殺菌乳は,ミルク臭,加熱臭,ミルク味,粘性,コクが強く,いわゆる濃厚感のある牛乳として,また,3種類のUHT牛乳の中ではくせがある牛乳として評価された.インジェクション殺菌乳およびインフユージョン殺菌乳は,これとは逆に,塩味,ミルク味,粘性が少なくてさっぱり感が強く,くせの少ない牛乳と位置づけられた.
(3) 主婦パネルによるおいしさの評価ではプレート殺菌乳が最も好まれた.これまでの報告と同様にUHT牛乳においても,おいしさには匂いの好みや後味の好み,ミルク味,コクが重要であることが明らかとなり,また,日常飲みなれていることも嗜好に影響を与える1つの要因であると考えられた.
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