日本食品科学工学会誌
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アワ種子からのシステインプロテイナーゼインヒビターの精製と性質
田代 操倉田 明枝長谷川 敦子澤田 小百合
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2000 年 47 巻 2 号 p. 105-111

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抄録

アワ種子の1%NaCl水溶液抽出物より,熱処理,硫安塩析,DEAE-Sepharose CL-6Bイオン交換クロマトグラフィー,Sephadex G-50ゲル濾過,さらにクロマトフォーカシングにより,システインプロテイナーゼインヒビターを電気泳動的に均一にまで精製した.本インヒビター(FMCPI)は分子量12000,等電点5.2を有する一本鎖のポリペプチドで,そのアミノ酸組成はアスパラギン酸(又はアスパラギン),グルタミン酸(又はグルタミン),アラニンに富み,半シスチンを欠いていた.FMCPIは比較的熱に安定で,pH2および7では,100°C,20分間の処理後も半量以上の活性を保持していた.しかし,pH10ではほぼ全活性を失った.本インヒビターはトリプシン,α-キモトリプシン,ペプシンを全く阻害せず,一方,パパイン,フィシンを強力に,さらにブロメラインに対しても阻害活性を示した.FMCPIのパパインに対する阻害の化学量論はタンパク質モル比1:1で,阻害定数(pH6.5)は2.4×10-11Mであった.また,インヒビターは,触媒能を有しないパパイン分子とも結合できることが示された.

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