日本食品科学工学会誌
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47 巻, 2 号
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  • 和久 豊, 角田 潔和, 小泉 武夫
    2000 年 47 巻 2 号 p. 61-69
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 山田 正子, 中澤 勇二, 細野 明義
    2000 年 47 巻 2 号 p. 70-77
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 持田 和美, 栗林 喬, 斉藤 憲司, 菅原 正義
    2000 年 47 巻 2 号 p. 78-84
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    付加価値が高く多くの食品に応用可能な酒粕粉末を調製する目的で板酒粕を洗浄・乾燥した結果,通風乾燥では可溶性糖と着色が発生することがわかった.また,水洗によって酒粕中の可溶性成分を除いてから凍結乾燥した粉末が白色で外観も良く,タンパク質と食物繊維に富むことがわかった.この酒粕粉末を高コレステロール飼料に添加して,ラットに投与した結果,糞便重量と糞中タンパク質が増加,盲腸内pHの有意な低下,有意な血清コレステロール上昇抑制を示し,糞中への中性・酸性ステロールの排泄量が増加する傾向を示した.しかし,胆汁酸組成は経口的に投与したコール酸排泄量のみが増加し,腸内細菌の修飾を受けた二次胆汁酸排泄に変化はなかった.以上の結果から,水洗・凍結乾燥酒粕粉末は,難消化成分に富みコレステロール上昇抑制効果を有する食品素材であることがわかった.
  • 焼麩の製造に関する基礎の研究(第7報)
    村瀬 誠, 小堂 千亜紀, 並木 和子, 石田 欽一
    2000 年 47 巻 2 号 p. 85-91
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    (1) でん粉粒子はグルテン繊維間に分散するので繊維の連続化とシート状の展開を妨害し,グルテンドウ中のグルテンは細分化された組織を形成する.粒構造をもたないα化でん粉は吸水率が大きいのでグルテンの水分を優先的に取り,塊を形成し,一部溶解してグルテンの構造を破壊する.粒構造を有しても吸水率が大きいα化でん粉や可溶性でん粉は水分バランスを不均一にし,グルテンドウの形成を困難にした.
    (2) 細分化されたグルテンは焼成によって微細な膨化骨格を形成し,繊維間に分散したでん粉粒子が糊化してグルテン骨格を密閉し,独立した気泡を形成する.糊化しやすいでん粉ほど密閉性がよく,比容積は大きくなる.
    (3) 合わせ粉として使用したでん粉の性状が異なっても焼成初期にグルテンドウから発生する水蒸気量はほとんど変わらず,比容積の差はでん粉の保水力の差を反映したものではなかった.
    (4) 従って,加熱によって糊化しないでん粉は密閉気泡を形成できず,またα化でん粉はグルテンを包み,膨化を妨害するので焼麩の膨化を抑制した.
    (5) 以上から,でん粉の粒構造はグルテンドウの形成を行う上で必要であり,焼成時に糊化することによってでん粉は焼麩の膨化を促進する.でん粉粒子表面のタンパク質の寄与については今後の検討課題である.
  • 農産物の生活習慣病予防作用に関する研究(第1報)
    深井 洋一, 松澤 恒友, 関谷 敬三
    2000 年 47 巻 2 号 p. 92-96
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    モモ,リンゴ,プラム,ブドウ(巨峰)およびアンズの5種類の果実類の糖尿病等の予防効果の可能性を検討するために,脂肪細胞の機能活性化,インスリン感受性の上昇効果を調べたところ,以下の知見が得られた.
    (1) いずれの果実類の強疎水性画分も,グリセロール-3-リン酸脱水素酵素および細胞内油滴を上昇させ,脂肪細胞の機能を活性化させることがわかった.いずれの品目も濃度依存的に活性が増加した.特にモモは低濃度で著しく作用し,極性成分(弱疎水性)においても若干の活性を認めた.
    (2) 強疎水性画分の添加において,インスリン共存下で細胞内へのグルコースの取り込み量の上昇が認められ,細胞のインスリン感受性が高まった.品目間ではモモが顕著であり,極性成分においても取り込み量が若干増加した.
    これらのことから,今回用いた5種類の果実は,in vitro試験では脂肪細胞の機能を活性化させ,インスリン感受性を上昇させる作用があることがわかった.特にモモは顕著であり,体内に吸収された場合には,糖尿病等の予防効果をもつ可能性があることが示唆された.
  • 深井 洋一, 松澤 恒友
    2000 年 47 巻 2 号 p. 97-104
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1.プルーン5品種について,14項目食品化学的特性の測定を行い,その品種特性を明らかにした.
    2.プルーンの抗酸化能について検討して,以下の知見を得た.
    (1) プルーンの抗酸化能を測定したところ,抗酸化作用が認められた.部位別では果皮に強い抗酸化作用を認め,その大きさは,果皮>全果>果肉の順であり,3者間に有意差が認められた(p<0.01).
    (2) 品種別に各部位のポリフェノール組成および含量を測定したところ,組成では6成分が定量され,主体はクロロゲン酸で没食子酸を加えると総含量の約80%を占めた.各部位の含量は,果皮>全果>果肉の順であり,3者間に有意差が認められた(p<0.01).
    (3) 抗酸化率,ポリフェノール含量およびアントシアニンの3者間にはそれぞれ相関関係が認められたことから,抗酸化作用には,ポリフェノールとアントシアニンが関与していることが示唆された.
    以上,プルーンの食品化学的特性と機能性について検討した.その結果,特に果皮部に強い抗酸化能が認められたことから,プルーンは皮丸ごとで食べることが,健康にとって良いと判断される.
  • 田代 操, 倉田 明枝, 長谷川 敦子, 澤田 小百合
    2000 年 47 巻 2 号 p. 105-111
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    アワ種子の1%NaCl水溶液抽出物より,熱処理,硫安塩析,DEAE-Sepharose CL-6Bイオン交換クロマトグラフィー,Sephadex G-50ゲル濾過,さらにクロマトフォーカシングにより,システインプロテイナーゼインヒビターを電気泳動的に均一にまで精製した.本インヒビター(FMCPI)は分子量12000,等電点5.2を有する一本鎖のポリペプチドで,そのアミノ酸組成はアスパラギン酸(又はアスパラギン),グルタミン酸(又はグルタミン),アラニンに富み,半シスチンを欠いていた.FMCPIは比較的熱に安定で,pH2および7では,100°C,20分間の処理後も半量以上の活性を保持していた.しかし,pH10ではほぼ全活性を失った.本インヒビターはトリプシン,α-キモトリプシン,ペプシンを全く阻害せず,一方,パパイン,フィシンを強力に,さらにブロメラインに対しても阻害活性を示した.FMCPIのパパインに対する阻害の化学量論はタンパク質モル比1:1で,阻害定数(pH6.5)は2.4×10-11Mであった.また,インヒビターは,触媒能を有しないパパイン分子とも結合できることが示された.
  • 山下 政続, 足立 秀哉, 中村 武嗣, 徳力 尚美
    2000 年 47 巻 2 号 p. 112-119
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    cis型不飽和脂肪酸からなる乳化剤は,飽和脂肪酸エステルと同様に澱粉と複合体を形成することが判明した.乳化剤と澱粉の複合体形成能は,乳化剤を構成する脂肪酸の構造が重要でなく,水溶液における乳化剤の分散状態が重要な因子であると考えられた.
    (1) ジグリセリン脂肪酸エステル(DG-C18:0,DG-C18:1,DG-C18:2)およびトリグリセリン脂肪酸エステル(TG-C18:0,TG-C18:1,TG-C18:2)は,いずれの乳化剤分散液の調製法においてもアミロースおよび澱粉とよく複合体を形成した.
    (2) MG-C18:0は,60°Cではアミロースおよび澱粉とよく複合体を形成したが,30°Cではその分散液の調製法によって複合体形成能が異なった.
    (3) MG-C18:1,MG-C18:2は,その乳化剤分散液の調製法によって,アミロースおよび澱粉との複合体形成能が大きく異なった.
    (4) DSC,TG/DTA,IRのデーターからMG-C18:1がMG-C18:0と同様にアミロースと複合体を形成することが示唆された.
    (5) アミログラフにおいて,多価アルコール脂肪酸エステルは馬鈴薯澱粉の糊化温度を上昇させ複合体形成を示唆した.
  • フォトン検出による抗酸化活性評価法に関する研究(第2報)
    岩井 邦久, 佐藤 麻里母, 松江 一
    2000 年 47 巻 2 号 p. 120-129
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    様々な市販茶飲料の抗酸化活性を評価すると同時に,食品の抗酸化活性評価法として確立したXYZ-dish法の有用性を明らかにする目的で,25製品の市販茶飲料の抗酸化活性を同法により評価するとともに,茶飲料中の8種類のカテキン化合物を定量し,抗酸化活性値との関連を検討した.
    (1) 市販茶飲料のXYZ-dish法による抗酸化活性は,製品により大きく異なったが,H2O2に対する抗酸化活性が・OHに対する活性よりも強い傾向が認められた.
    (2) 缶飲料の抗酸化活性は,その他の茶缶類<ウーロン茶缶類<煎茶缶類の順に強さが認められたが,茶浸出液類の抗酸化活性はこれら缶飲料の活性に比較して著しく強いことが示された.
    (3) カテキン化合物のXYZ-dish法による抗酸化活性は,CTN,EC<Cg,ECg<GC<EGC<GCg<EGCgの順に強いことが示され,その強さには芳香環の水酸基数とB環5'位の水酸基の有無が強く関わっていることが考えられた.
    (4) 茶飲料中のカテキン濃度は,製品により大きく異なったが,EGCgおよびEGC含有率の高い飲料が多く認められ,この2種類のカテキン化合物が茶飲料の抗酸化活性に強く関与していることが示された.また,缶飲料より活性の高いD-5を除く茶浸出液類のカテキン総濃度は,缶飲料の3∼190倍高いものであった.
    (5) 茶飲料のXYZ-dish法による抗酸化活性と各カテキン濃度を比較すると,EC,ECg,EGC,EGCgの各濃度に対して抗酸化活性値は有意に高い相関性を示し,さらに8種類のカテキン総濃度に対してはどちらの活性酸素種に対する抗酸化活性値も有意に高い相関性を示した.
    以上の結果より,XYZ-dish法は茶飲料のみならず,ポリフェノール性抗酸化作用を有するその他の食品や食品素材の抗酸化活性評価への適用も期待される.
  • 浅野 祐三, 井原 啓一, 森 哲志, 溝田 輝彦, 岩附 慧二, 外山 一吉
    2000 年 47 巻 2 号 p. 130-135
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    (1) 本実験の高圧ホモジナイザーによる瞬時殺菌システムFHSで,圧力エネルギーが熱エネルギーに変換される際,ホモジナイザー均質処理圧力100MPaで水の場合約23°C,牛乳の場合で約25°Cの温度上昇が瞬時に得られる.
    (2) 芽胞菌(B. brevis, B. stearothermophilus)を原乳に添加して,殺菌効果の比較を本実験システムFHSと従来のプレート式殺菌システムMAUで行った結果,耐熱性の高い芽胞菌に対してFHSはMAUに比べて同等の殺菌効果が得られた.
    (3) FHSでは最終加熱部の昇温カーブがMAUと比較してシャープであるため,製品の熱変性が少なく風味,物性(粘度,色調等)の良好なものが得られた.
    (4) FHSは殺菌と同時に80∼90MPaの高圧で均質化するため,分散脂肪球径が0.5μm前後の微細粒子となり,冷蔵保存60日間,製品の脂肪浮上を低減できた.
  • 柳本 正勝, 柳本 武美
    2000 年 47 巻 2 号 p. 136-141
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    食料需給表に掲載されているような系統変動が大きく偶然変動が小さいデータを用いて,その経年変化を示す傾向線を得る目的に適した,新しい手法を提案した.提案した手法は経験ベイズ型平滑化法の改良法で,始めに多項回帰により次数を選定することを特徴とする.選ばれた次数の回帰曲線のデータへの適合性を診断し,適合性が良いという仮説が棄却されない場合は傾向線として当該回帰曲線を採用し,棄却される場合は対応する平滑化曲線を採用する.
    提案した手法を用いて,米,大豆,牛肉の生産・消費の経年変化を解析した.米の国内生産量は直線的に減少してきたと評価されたが,一人当たりの消費量の傾向線は2次曲線であった.2次曲線を外挿すると,最低になるのは1999年度となった.大豆の国内生産量は階差3曲線が選ばれたが,傾向線の示す変化は畑作振興政策の変遷で説明できた.牛肉は生産も消費も増加してきた代表的な食品であるが,生産量は既に減少に転じ,消費の増加もごく最近は急激に鈍化している.
  • 小島 登貴子, 関根 正裕, 鈴木 敏正, 堀金 明美, 永田 忠博
    2000 年 47 巻 2 号 p. 142-147
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ゆで麺のMRI法による水分分布測定とゆで上げ後の麺の圧縮試験を行い,物性値に与える水分分布の影響について以下の結果を得た.
    1) ゆで上げ後の麺の水分分布の経時変化から,ゆで上げ後1時間での水分の均一化の度合いが大きいことが観察された.
    2) ゆで過程における水の浸透性について,小麦品種による違いが示唆された.
    3) ゆで麺の破断応力は,ゆで上げ後経時的に減少し,その値は,麺中心部水分と負の相関があることが認められた.
    4) 麺の弾性率は経時的に増加し,水分の均一化に伴う麺周辺部水分の減少との関連性が示唆された.
  • 本堂 正明, 中野 敦博, 奥村 幸広, 山木 携
    2000 年 47 巻 2 号 p. 148-154
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ヤーコンジュース中には多量のフラクトオリゴ糖が含まれ,天然のフラクトオリゴ糖入り機能性甘味飲料素材として有望である.しかしジュースは濁りや青臭みがあり,また着色しているため,そのままでは飲料に適しているとは言い難い.そこで6種類(SD,BA,TW,ZN,TAとKA)の粉末活性炭を用い,フラクトオリゴ糖の損失が少なく,かつジュースの清澄化,脱色と脱臭が可能な添加量(1∼5%)を検討した.その結果,かさ容積が3以上のZNとTAを用いた粉末活性炭処理で,少なくとも2,3%の添加でほぼ,無色透明で無臭のジュースが得られた.またこれらの添加量では,ジュース中のフラクトオリゴ糖は平均して89∼94%残存した.一方,BAとTWと比べ,ZNとTAは1/2の使用量で効果があるため,粉末活性炭コストも1/2に軽減できる.このようなことからZNとTAは使用に適した良好な粉末活性炭と考えられた.
  • 平 俊雄, 庄司 一郎
    2000 年 47 巻 2 号 p. 155-157
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    米の食味および米の窒素含量との関係が認められている炊飯特性について,加熱吸水率,溶出固形物量の測定を行い,精米中の窒素の分布と炊飯特性との関係について検討した.
    米の窒素は表層に多く分布し,窒素含有率の高い表層の精米粉の膨潤度は低かった.また,搗精が進み窒素含有率が低下すると精米の加熱吸水率は高まり,溶出固形物量は増加した.
  • 吉川 秀樹, 小垂 眞, 田中 千栄, 池内 常郎, 河端 信
    2000 年 47 巻 2 号 p. 158-162
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    トラマメより分離精製したα-アミラーゼインヒビター(TAI)の熱安定性と消化性について検討した.
    プレインキュベーション温度を25°Cから45°Cまで上げた場合,温度の上昇とともにインヒビター活性は上昇した.また,80°C,20分間の加熱において,pH3.0,5.0では約90%が失活したが,pH7.0では65%の活性が残存しており,90°Cに加熱温度を上げても35%の活性が残存していた.
    マメを水浸漬(15時間)しただけではインヒビター活性の低下は認められなかったが,続く加熱操作により15分後に90%が失活し,さらに15分間の加熱により完全に失活した.また,インヒビターの失活にともなって可溶性タンパク質量も減少した.
    本インヒビターはペプシンおよびトリプシン消化に対して強い抵抗性を示したが,モル比で1/10量のキモトリプシンで消化させると2時間で約90%が失活した.
  • 小幡 斉, 河原 秀久, 山出 和弘, 伊藤 雅文
    2000 年 47 巻 2 号 p. 163-167
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本論文は,Bacillus alvei DC-1の菌体内色素をTLCで分画し,1H-NMR,GC-MS,IR,VIS等で同定すると共に,培養条件についても検討した結果,下記のような結果を示した.
    (1) 本菌株が菌体内に生産する主なカロチノイド色素は,リコピンとβ-カロチンと同定された.
    (2) 本菌株に6700luxの可視光線を照射したが,菌体の生育には影響しなかった.しかし,カロチノイド生産は24時間培養で比較すると,光照射した場合には光照射しない場合よりも約4倍高い生産量を示した.
    (3) ニコチンを培養液に3.0mM添加してβ-カロチンとリコピンの生産量を調べた結果,β-カロチンは認められなかったが,リコピンの生産量は無添加よりも高くなることがわかった.
  • 本江 薫, 大泉 徹, 川崎 賢一
    2000 年 47 巻 2 号 p. 168-172
    発行日: 2000/02/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1989年の3月から7月の間に富山,福井および兵庫の各県において漁獲されたホタルイカの全魚体および肝臓の無機質成分含量を測定した.3月から7月にかけて全魚体のCu,MnおよびZn含量は増加した.特にCu含量の増加が顕著であり,7月の含量は3月のそれの約2倍以上であった.一方,その他の無機質成分は横這い傾向を示したが,採集場所により含量に差が認められた.また,全魚体のCu含量の約70%が局在している肝臓のCu含量も体成長と共に増加することから,全魚体のCu含量変化は肝臓へのCuの蓄積に依ることが示された.また,スルメイカ肝臓のCu含量も体成長に伴って増加し,高濃度のCuの蓄積が認められた.これらのことからイカ類は成長に伴い肝臓中にCuを蓄積することが推定された.
  • 2000 年 47 巻 2 号 p. N52
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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