日本食品科学工学会誌
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XYZ-dish法により評価した市販茶飲料の抗酸化活性とカテキン濃度との関連
フォトン検出による抗酸化活性評価法に関する研究(第2報)
岩井 邦久佐藤 麻里母松江 一
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2000 年 47 巻 2 号 p. 120-129

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抄録

様々な市販茶飲料の抗酸化活性を評価すると同時に,食品の抗酸化活性評価法として確立したXYZ-dish法の有用性を明らかにする目的で,25製品の市販茶飲料の抗酸化活性を同法により評価するとともに,茶飲料中の8種類のカテキン化合物を定量し,抗酸化活性値との関連を検討した.
(1) 市販茶飲料のXYZ-dish法による抗酸化活性は,製品により大きく異なったが,H2O2に対する抗酸化活性が・OHに対する活性よりも強い傾向が認められた.
(2) 缶飲料の抗酸化活性は,その他の茶缶類<ウーロン茶缶類<煎茶缶類の順に強さが認められたが,茶浸出液類の抗酸化活性はこれら缶飲料の活性に比較して著しく強いことが示された.
(3) カテキン化合物のXYZ-dish法による抗酸化活性は,CTN,EC<Cg,ECg<GC<EGC<GCg<EGCgの順に強いことが示され,その強さには芳香環の水酸基数とB環5'位の水酸基の有無が強く関わっていることが考えられた.
(4) 茶飲料中のカテキン濃度は,製品により大きく異なったが,EGCgおよびEGC含有率の高い飲料が多く認められ,この2種類のカテキン化合物が茶飲料の抗酸化活性に強く関与していることが示された.また,缶飲料より活性の高いD-5を除く茶浸出液類のカテキン総濃度は,缶飲料の3∼190倍高いものであった.
(5) 茶飲料のXYZ-dish法による抗酸化活性と各カテキン濃度を比較すると,EC,ECg,EGC,EGCgの各濃度に対して抗酸化活性値は有意に高い相関性を示し,さらに8種類のカテキン総濃度に対してはどちらの活性酸素種に対する抗酸化活性値も有意に高い相関性を示した.
以上の結果より,XYZ-dish法は茶飲料のみならず,ポリフェノール性抗酸化作用を有するその他の食品や食品素材の抗酸化活性評価への適用も期待される.

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