日本食品科学工学会誌
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碾茶の熟成保存における茶葉中のビタミンC,クロロフィル及びクロロフィラーゼ活性の安定性
島田 和子竹下 円久富 好美堀江 秀樹木幡 勝則
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2000 年 47 巻 3 号 p. 254-259

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抄録

碾茶を含気包装と窒素充填包装で5°C,6ヶ月間保存したときの品質劣化程度を調べるために,茶葉成分中のビタミンC含量,クロロフィル及びクロロフィル誘導体含量,クロロフィラーゼ活性の安定性について検討した.
(1) みかけの総ビタミンC及びアスコルビン酸含量の残存率は,含気包装保存では約80%,窒素充填包装保存では約90%であり,ビタミンCの劣化は小さいことが認められた.みかけの酸化型ビタミンC含量に変化は認められなかった.
(2) 両保存条件下において,抹茶の表面色(緑色の減少を表す-a/b値)の変化は小さく,またクロロフィル及びクロロフィル誘導体含量も変化がなく安定であることが認められた.
(3) 碾茶を6ヶ月間保存しても,クロロフィラーゼ活性は低下しなかった.クロロフィルが安定であったことから,水分含量の少ない碾茶ではクロロフィラーゼは作用しないと推察した.
以上のことから,含気包装保存すなわち抹茶の風味生成のための碾茶保存条件では,茶葉の品質は劣化しないことが確認された.

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