日本食品科学工学会誌
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固液混合缶詰内の液体の流れと温度分布
王 奇志酒井 昇三堀 友雄
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2000 年 47 巻 5 号 p. 355-362

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抄録

粒子を充填した固液混合缶詰を加熱したときに生じる缶内の自然対流及び温度分布について検討した.結果は以下の通りである.
1) セラミックス粒子を充填したガラス製容器に,加熱と同時にトレーサーを注入して中の流体の動きを観察した.トレーサーは壁面に沿って上昇した後,上面の中心軸周辺で沈み込み,自然体流が起こっていることが確認できた.この時の上昇流は軸方向に進み,円周方向への攪拌は少ないことがわかった.また,温度分布も測定したところ,軸対称性があることが確認できた.
2) 流動特性値として,透過係数とDarcy数を求めた.粒子直径が大きいほうが透過係数は大きくなり,流れは速くなることを示すが,このことは観察結果と一致した.また,Darcy数はDa<10-4の範囲にあり,Darcyの法則が適用できることを確認した.
3) Darcy流れを考慮した数学モデルを作成し,数値計算を行った.温度分布について計算結果と実測値と比較したところ良好に一致し,本数学モデルで粒子を充填した固液混合缶詰内の熱移動を解析できることがわかった.

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