日本食品科学工学会誌
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47 巻, 5 号
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  • 神山 かおる
    2000 年 47 巻 5 号 p. 341-346
    発行日: 2000/05/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 干し椎茸の嗜好性に及ぼす品種間差異について(第2報)
    春日 敦子, 藤原 しのぶ, 青柳 康夫
    2000 年 47 巻 5 号 p. 347-354
    発行日: 2000/05/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1994年,1995年,1997年日本産原木栽培椎茸5品種と中国産菌床栽培椎茸1種の計6種の干し椎茸について水温と水戻し時間を変えて水戻しを行い,吸水量,褐変度の変化を測定した.また水戻し後,加熱処理を行い,遊離アミノ酸,レンチニン酸,RNA,5'-ヌクレオチド含量の変化を測定し,品種の違いによる水戻しに対する挙動を検討した.いずれの品種も従来より報告されている挙動と似通った傾向を示したが,品種間には差があった.
    日本産原木栽培椎茸では,品種Dは褐変度,遊離アミノ酸の増加は有意に小さく,吸水量,5'-ヌクレオチドの蓄積量も少ない傾向を示し,特徴のある品種であった.また品種A,Eは遊離アミノ酸の増加が有意に多く,品種Eは5'-ヌクレオチドの蓄積量も多い傾向を示した.
    一方中国産菌床栽培椎茸は水戻しによって著しく褐変し,レンチニン酸,RNA残存量が有意に高く,遊離アミノ酸の増加,5'-ヌクレオチド蓄積量も多い傾向を示した.これは菌床栽培に由来する高窒素量が大きな要因であったと思われた.
  • 王 奇志, 酒井 昇, 三堀 友雄
    2000 年 47 巻 5 号 p. 355-362
    発行日: 2000/05/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    粒子を充填した固液混合缶詰を加熱したときに生じる缶内の自然対流及び温度分布について検討した.結果は以下の通りである.
    1) セラミックス粒子を充填したガラス製容器に,加熱と同時にトレーサーを注入して中の流体の動きを観察した.トレーサーは壁面に沿って上昇した後,上面の中心軸周辺で沈み込み,自然体流が起こっていることが確認できた.この時の上昇流は軸方向に進み,円周方向への攪拌は少ないことがわかった.また,温度分布も測定したところ,軸対称性があることが確認できた.
    2) 流動特性値として,透過係数とDarcy数を求めた.粒子直径が大きいほうが透過係数は大きくなり,流れは速くなることを示すが,このことは観察結果と一致した.また,Darcy数はDa<10-4の範囲にあり,Darcyの法則が適用できることを確認した.
    3) Darcy流れを考慮した数学モデルを作成し,数値計算を行った.温度分布について計算結果と実測値と比較したところ良好に一致し,本数学モデルで粒子を充填した固液混合缶詰内の熱移動を解析できることがわかった.
  • 藤井 恵子, 高橋 貞幸, 木内 瑠美子
    2000 年 47 巻 5 号 p. 363-368
    発行日: 2000/05/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究では,ゲル化能を有する絹フィブロインに着目し,これを米粉と複合化してスポンジケーキの調製を試み,複合化効果について検討した.
    1.薄力小麦粉を用いることなく,米粉と絹フィブロインを複合化させることにより,スポンジケーキを調製することができた.
    2.米粉と絹フィブロイン泡沫を用いたスポンジケーキは薄力粉と卵白泡沫を用いたスポンジケーキと比べ,比容積が低くなり,膨化が小さかった.
    3.絹フィブロインを添加することでスポンジケーキの老化速度が遅くなった.
    4.官能検査の結果より,米粉と卵白/絹フィブロイン混合泡沫を用いたスポンジケーキは薄力粉と卵白泡沫を用いたスポンジケーキと比べ,内部のきめが細かく(P<0.01),しっとりとしており(P<0.01),最もおいしい(P<0.01)と評価された.
  • 道畠 俊英, 佐渡 康夫, 矢野 俊博, 榎本 俊樹
    2000 年 47 巻 5 号 p. 369-377
    発行日: 2000/05/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イカおよびイワシイシルの加温(30∼50°C)による速醸法での試醸を行い,試醸期間におけるアミノ酸などの成分の消長について検討し,以下の結果を得た.
    (1) 加温による速醸法では,イカイシルでは温度の上昇にともない各成分の生成速度が増加し,イワシイシルでは40°Cで最大となった.
    (2) 全窒素は,イカイシル(50°C)は10日,イワシイシル(40°C)では38日でそれぞれ市販品と同等の値となり,その後は平衡状態となった.
    (3) pHは速醸温度による大きな差は見られず,イカイシルは経時的に5.6から4.7へと低下したのに対し,イワシイシルは5.8から5.3とあまり変化しなかった.
    (4) 遊離アミノ酸は,イカイシル(50°C)は24日,イワシイシル(40°C)では38日で平衡状態となり,アミノ酸組成も市販品と同様なパターンが得られた.
    (5) 分子量5000以下のオリゴペプチドはイカイシル,イワシイシルいずれの場合も,グルタミン酸,グリシン,アスパラギン酸,プロリンなどが主要構成成分であり,イワシイシルがオリゴペプチドを多く含んでいた.
    (6) 有機酸はイカイシル,イワシイシルいずれの場合も乳酸,ピログルタミン酸が大部分を占め,速醸温度による影響はなく,また経時的変動も少なかった.
    以上のことから,イシルの速醸法では,イカイシルは50°Cで24日,イワシイシルは40°Cで38日と通常の製法よりも非常に短期間で調製することができ,その成分も市販品とほぼ同程度であった.
  • 岡崎 良生, 鬼頭 誠, 内海 成
    2000 年 47 巻 5 号 p. 378-383
    発行日: 2000/05/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    牛乳に乳酸菌を加え90分間発酵させた後,レンネットを加え,種々の量の7Sグロブリン,11SグロブリンおよびSIを添加してカード形成させたところ,以下の結果を得た.
    (1) 7Sグロブリン,11SグロブリンおよびSIを添加して30°C,12時間静置することによって全てカード形成した.
    (2) 7Sグロブリンは全てのサブユニットがカードに取り込まれる.しかも,11SグロブリンおよびSIよりカードに取り込まれ易い.しかし,カードは柔らかくなる.
    (3) 11Sグロブリンは単独ではカードに取り込まれ難く,特にASIIIが取り込まれ難い.また,カードは柔らかくならない.
    (4) SIでは11Sグロブリンもカードによく取り込まれる.つまり,7Sグロブリンが存在すると,11Sグロブリンは取り込まれ易くなる.特にASIIIが取り込まれ易くなる.また,カードは柔らかくならない.
  • 野菜入り乳酸菌飲料の開発(第1報)
    大庭 理一郎, 飯尾 雅樹
    2000 年 47 巻 5 号 p. 384-389
    発行日: 2000/05/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ビタミンCを豊富に含み,抗酸化作用及び抗変異原作用があると報告されているブロッコリー粉末を原料とした乳酸菌飲料の開発を行うため,乳酸菌の選抜,原料濃度,殺菌条件及び発酵条件の検討を行った.この結果,乳酸菌はStreptococcus lactis subsp. cremoris H-61を用い,ブロッコリー濃度,脱脂粉乳濃度,黒糖濃度及び上白糖濃度を各々3.2%,5%,4%,5%で仕込み,70°C⋅15分で殺菌した後,30°C⋅36h前後で発酵すると官能的に良好な飲料が試作できた.
    また今回作成した乳酸菌飲料は牛乳と同程度のカルシウムと約3倍の鉄(0.3mg/100ml)を含み,一般の乳酸菌飲料成分にはみられないビタミンC(1.9mg/100ml)が含まれていた.よって無機成分が多く,栄養価の高い乳酸菌飲料が開発できた.
  • 小関 成樹, 伊藤 和彦
    2000 年 47 巻 5 号 p. 390-393
    発行日: 2000/05/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    電解水の保存中の変化を検討した結果,以下のことが明らかになった.
    1) 短期間の保存において,強酸性電解水のORP,有効塩素濃度は明所開放条件によっては速やかに低下し,有効性を失うことが示された.一方,遮光密閉条件において強酸性電解水は安定していることが確認された.また,強アルカリ性電解水は保存条件によらず不安定であった.
    2) 長期間の保存においても強酸性電解水は遮光密閉状態であれば安定した状態を保つことが明らかになった.また,遮光しない場合にはORP,有効塩素濃度は速やかに低下してしまうがpHは変化を示さないことから,活性を失っても酸性を示す水溶液であることが明らかになった.
  • 大鶴 勝, 堀尾 拓之, 升井 洋至
    2000 年 47 巻 5 号 p. 394-396
    発行日: 2000/05/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    各種キノコ類について,脂肪細胞の分化抑制への影響を調べた.マッシュルーム以外のキノコ類(シイタケ,マッタケ,マイタケ,シメジ,エノキタケ)に抑制効果が認められた.
    シメジでは部位により,分化抑制因子の局在が見られた.これら分化抑制効果は,加熱処理により消失したことから,キノコ類の機能性を考えた場合,加工・調理面での考慮が示唆される.
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