米及び米加工品から乳酸菌を分離,同定し,4-NQOに対する抗変異原性を検討した.
(1) 米及び米加工品より分離した植物性乳酸菌80株の内訳は,Lactobacillus属60株,Streptococcus属18株,Leuconostoc属1株,Pediococcus属1株であった.
(2) 分離菌の洗浄菌体を調製し4-NQOに対する抗変異原性率を測定し,活性の高い10株を選択した,それらはすべてLactobacillus属であった.
(3) 選択した10株の加熱洗浄菌体の抗変異原性はすべての株で著しく低下,もしくは活性が消失した.
(4) 分離した乳酸菌の牛乳に対する発酵性は低く,グルコースと液化米粉を牛乳に添加することで良好な発酵物が得られた.
(5) 発酵物の抗変異原性は洗浄菌体と同様,高い値を示したが,加熱により活性の低下又は消失が見られた.
(6) 加熱発酵物の抗変異原性率が疑似酸乳より高いこと,及び加熱菌体にはほとんど活性が見られないことより,乳酸菌による牛乳分解物等の発酵生成物もしくは乳酸菌の代謝物質による効果が示唆された.