日本食品科学工学会誌
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強酸性電解水の殺菌効果と試料表面に及ぼす影響
吉田 恭一郎Kyung-il LIMHee-Chul CHUNG植村 邦彦五十部 誠一郎鈴木 鐵也
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2001 年 48 巻 11 号 p. 827-834

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抄録

強酸性電解水の殺菌効果と試料表面への影響にっいて検討した.
(1) 強酸性電解水の割合が高いほど殺菌効果が高くなり,また混合方法により殺菌効果に差が生じた.っまり,強酸性電解水は,低いpHと高い有効塩素濃度を維持した状態で菌と接触するほど高い殺菌効果を得ることができ,また,その殺菌効果は持続的ではなく,被殺菌物と混合すると殺菌効果が減衰することが明らかになった.
(2) 被殺菌物に対して強酸性電解水が十分量でない場合,有機物等の影響でpHの上昇,有効塩素濃度の低下が生じ,殺菌効果が低下することが明らかとなった.また,カタラーゼ添加効果の検討から,強酸性電解水処理により酸化ストレスを受けて損傷している菌が存在することが明らかとなった.
(3) 食品モデルとして,NAブロックに大腸菌を植菌したものを使用した結果,強酸性電解水による処理時間に従って,殺菌効果が高くなった.またその時の走査電顕観察による大腸菌の観察像にも相違が認められた.NAブロックを使用することでより液体培地での殺菌試験に比べて食品素材に近い状態で殺菌効果を評価できることが示唆された.
(4) マグロ付着菌の殺菌に強酸性電解水を使用した場合,マグロの表面構造および菌の存在状態が複雑なため,長時間処理することで殺菌効果が認められたが,それと同時に表面の変色など食品品質への影響も認められた.

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