日本食品科学工学会誌
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電気容量を用いた食用油脂の融点測定
羽倉 義雄鈴木 寛一
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2002 年 49 巻 4 号 p. 272-276

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抄録

電気容量測定により油脂の融点測定を試みた.油脂試料として,オリーブ油,ダイズ油,ナタネ油,ピーナツ油,トウモロコシ油,ゴマ油,トリオレインを使用した.油脂試料の融解に伴う電気容量変化をキャパシタンスメータを使用して,-160~30℃の範囲で測定した.また,DSCを使用して油脂試料の融解に伴う熱量変化を-160~30℃の範囲で測定した.
油脂試料の電気容量は温度の上昇と供に大きくなった.電気容量の温度依存性を表す曲線は,全ての油脂において類似した形状であったが,曲線の変曲点は,油脂ごとに異なっていた.また,油脂の融点付近において電気容量の変化が顕著であった.温度変化に対する電気容量の変化を温度の増分で微分し,電気容量の一次微分曲線を作成した.電気容量の一次微分曲線とDSC曲線との間には類似性が見られた.電気容量の一次微分曲線とDSC曲線からそれぞれ,融解開始温度,融解ピーク温度,融解終了温度を読み取った.電気容量測定により得られた融解温度はDSC測定により得られた融解温度と良好に一致していた.電気容量測定により,油脂の融点測定が可能であることが示唆された.

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