日本食品科学工学会誌
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大豆の食物繊維,タンパク質および脂質含量への転換畑および晩期播種栽培の影響
平 春枝中村 茂樹磯谷 尚子河津 恵
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2004 年 51 巻 1 号 p. 38-46

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抄録

1.大豆の食物繊維(水溶性:SDF・不溶性:IDF・総量:TDF)含量および品質(百粒重,タンパク質・脂質含量)への品種と栽培条件の影響を,普通畑標準播種栽培大豆(標準大豆)・水田転換畑標準播種栽培大豆(転換畑大豆)・普通畑晩期播種栽培大豆(晩播大豆)について検討した.試料は早生∼晩生の計7品種で,前東北農業試験場刈和野試験地で1995年に栽培した大豆である.
2.転換畑栽培では,SDF・IDF・TDF含量への影響は品種により異なり,含量の変化に一定の傾向がなく,品種と栽培条件(土壌条件)についてその影響の程度を寄与率よりみると,品種からの影響が,土壌条件からの影響よりも著しく大きいことが明らかになった.一方,品質は土壌条件の影響を受け,標準大豆と転換畑大豆の各平均値で比較すると,百粒重では108%,タンパク質では104%と各増加,脂質では94%と減少がみられ,それぞれ有意水準1%で有意差が認められた.しかしながら,品種と土壌条件についてその影響の程度を寄与率よりみると,タンパク質・脂質含量,百粒重は土壌からの寄与も受けるが,品種からの寄与が,土壌条件からの寄与よりも著しく大きいことが認められた.
3.晩播栽培では,播種期の影響を受け,生育・登熟日数の短縮と登熟気温の低下がみられた.標準大豆と晩播大豆の各平均値で比較すると,IDF含量では102%の増加,百粒重では97%の減少があり,共に有意水準5%で有意差が認められた.さらに,脂質含量では93%の減少がみられ,有意水準1%で有意差が認められた.これらについて,品種と栽培条件(播種期)の影響の程度を寄与率よりみると,IDF,脂質含量,百粒重は播種期からの寄与も受けるが,品種からの寄与が,播種期からの寄与よりも著しく大きいことが認められた.しかしながら,脂質含量への播種期からの寄与は,影響を受けたIDF・百粒重の寄与にくらべて,著しく大きい寄与率が認められた.

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