日本食品科学工学会誌
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高血圧自然発症ラットを用いたα-トコフェロールとイワシタンパク質由来ペプチド併用による血圧調節作用の解析
松本 均伊藤 恭子山岸 恵中村 裕子徳永 隆久
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2004 年 51 巻 10 号 p. 546-553

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抄録

高血圧自然発症ラット(SHR)を用いてα-トコフェロール(α-Toc)連続投与下でイワシタンパク質由来ペプチド(Y-2)を併用した時の降圧作用を検討した.
ラットをα-Toc非投与群,α-Toc低用量(α-Toc32mg/kg体重)群,α-Toc高用量(α-Toc160mg/kg体重)群の3群に分け,経口投与を42日間継続し,尾動脈圧(収縮期血圧:SBP)を測定した結果,α-Toc投与群では非投与群と比較して投与期間中を通じてSBPの低下傾向が観察された.
それぞれの群をさらに2群に分け,Y-2非投与群あるいはY-2投与(100mg/kg体重)群の計6群とし,Y-2単回投与後,経時的にSBPを測定した.Y-2の単回投与によりα-Tocの用量にかかわらず全ての群において有意に降圧作用が確認され,Y-2による降圧の程度にはα-Tocへの用量依存性が認められた.α-Toc連続投与下でのY-2単回投与6時間後では,血漿中のα-Toc量はα-Toc投与群で有意に増加し,α-Toc高用量+Y-2投与群ではα-Toc非投与+Y-2非投与群と比較してTAS,LPOなどの抗酸化指標の有意な改善が見られた.ACE阻害作用は主に心臓において有意な低下が見られた.以上の結果からα-Tocの抗酸化作用とY-2のACE阻害作用が協働して,降圧効果が増強された可能性が示された.

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