日本食品科学工学会誌
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窒素同位体比によるホウレンソウ栽培法の判別
堀田 博田中 福代大脇 良成
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2004 年 51 巻 12 号 p. 680-685

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抄録

(1) ホウレンソウより抽出した遊離Aspと遊離GluのGC/C/IRMSによるδ15N測定値は,土中の有機成分の影響を受けない水耕栽培が最も小さく,窒素施肥量が同じ条件では化学肥料のみ施用,化学肥料と有機肥料半分ずつ(慣行),有機肥料のみの順にプラス側に大きくなった.さらに有機肥料のみ三倍施用した場合はより大きくなり,他の測定値との間に統計的に有意な差が見られた.
これらのδ15N測定値と有機肥料施肥量との間には,遊離GluでR2=0.9336,遊離AspではR2=0.8788の高い相関があった.
また,IRMSによる全植物体のδ15N測定値と有機肥料施用量との関係は,GC/C/IRMSでの結果より相関は低いが,同様の結果であった.
これらの結果から,δ15N測定値は有機肥料の施肥量が多くなるに従い大きくなり,ホウレンソウの栽培条件,有機肥料を与えたか否かを推定できた.
(2) ホウレンソウ全植物体中のδ15Nが有機肥料の施肥量に従って大きくなるのは,遊離やタンパク質を構成するアミノ酸類,特にGluおよびAspに重窒素が蓄積されることを反映したものであった.

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