日本食品科学工学会誌
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脂肪酸塩添加米グロブリンの加熱誘導ゲル特性とゲル化に寄与する分子間力
太田 尚子
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2004 年 51 巻 6 号 p. 281-287

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抄録

カプリン酸ナトリウムまたはラウリン酸ナトリウムの添加は米グロブリンゲルの柔らかさ,保水性および透明度を増加させた.カプリル酸ナトリウムも,ゲルの保水性を増加させた.カプリン酸ナトリウムを含む加熱誘導ゲルからのタンパク質の溶出に及ぼす種々の試薬の影響は,脂肪酸塩添加米グロブリンゲルの安定性にタンパク質分子間の非共有結合が主として寄与している事を示唆した.実際,脂肪酸塩無添加のゲルとは対照的に,脂肪酸塩添加ゲルではN-エチルマレイミドはゲル形成を阻害せず,この事は脂肪酸塩添加ゲルの形成に対してはジスルフィド結合は重要でないことを示した.走査型電子顕微鏡観察は,脂肪酸塩添加の透明ゲルが高い保水性を保持する事が可能な非常に微細で均質なネットワークを持っている事を示した.

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