約60年前にポテトの成長因子として発見され, ミトコンドリアのケト酸脱水素酵素複合体の補欠分子として働いていることが明らかにされてからは, 長らくエネルギー代謝に関わる分子としてその役割が認識されていたリポ酸であるが, 最近, 強い抗酸化活性を持つことが明らかにされたことをきっかけに, その多彩な生理活性に注目が集まるようになった。本稿では, 1, 2-ジチオラン環を有するリポ酸及びその還元体であるジヒドロリポ酸の抗酸化活性を中心にこれまでの研究を紹介するとともに, 新たな誘導体の開発や最近活発に解明の進んでいる細胞情報伝達系におけるリポ酸の役割などにも触れ, リボ酸の生理的役割について考察を加える。