抄録
高分子材料の表面では周囲の環境との界面自由エネルギーを最小にするようにセグメントの配向や側鎖の回転が起こる。これは表面が分子の配向を通して環境に応答することを意味している。したがって,極端に異なる特性をあわせもつポリマー鎖を表面に導入して環境に応じてそれぞれの特性を発現させることができれば,新規の材料を作り出すことができる。本研究では親水性のグラフト鎖と疎水性のグラフト鎖を二段階プラズマ重合により表面に導入した。この表面は親水性と疎水性との問で可逆的に,ダイナミックに変化することがわかった。このように周囲の環境に応答するカメレオン表面について,表面近傍の組成分析,静的および動的接触角測定,および原子間力顕微鏡による観察を行った。