オレオサイエンス
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1 巻, 10 号
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総合論文
  • 藤本 啓二, 石田 立治
    2001 年1 巻10 号 p. 991-998,989
    発行日: 2001年
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    高分子材料の表面では周囲の環境との界面自由エネルギーを最小にするようにセグメントの配向や側鎖の回転が起こる。これは表面が分子の配向を通して環境に応答することを意味している。したがって,極端に異なる特性をあわせもつポリマー鎖を表面に導入して環境に応じてそれぞれの特性を発現させることができれば,新規の材料を作り出すことができる。本研究では親水性のグラフト鎖と疎水性のグラフト鎖を二段階プラズマ重合により表面に導入した。この表面は親水性と疎水性との問で可逆的に,ダイナミックに変化することがわかった。このように周囲の環境に応答するカメレオン表面について,表面近傍の組成分析,静的および動的接触角測定,および原子間力顕微鏡による観察を行った。
  • 長崎 幸夫
    2001 年1 巻10 号 p. 999-1004,989
    発行日: 2001年
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    筆者らは数年前, ジビニルシランとジアミン化合物からアニオン重付加反応により, 有機ケイ素とアミノ基を主鎖に有するポリサイラミン誘導体が合成されることを見いだした。疎水性の有機ケイ素セグメントと親水性のアミノ基セグメントを交互に有するポリサイラミンは水中においてそのアミノ基のプロトン化に伴いユニークな相転移挙動を示す。i) pH及び温度によってその溶解性を著しく変化させる2重応答材料である。ii) ケイ素のルイス酸性のため, 種々のアニオンが強く配位する。iii) アミノ基のプロトン化と有機ケイ素のアニオンバインドのため, 主鎖の運動性が著しく変化するゴム弾性転移を示す。実際, ポリサイラミンのガラス転移点は脱プロトン化状態で一85℃の極めて柔らかいゴム状態を示すのに対し, プロトン化状態では+80℃以上のポリスチレンのようなプラスティック状態となる。このような一分子における極めて大きな相転移を集合状態でシンクロナイズさせることによって様々な新規信号応答性材料が創出される。本稿ではポリサイラミンの合成, 水溶液中での特性及び表面ポリマーブラシへの展開をまとめる。
  • 関 隆広
    2001 年1 巻10 号 p. 1005-1012,990
    発行日: 2001年
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    分子あるいは高分子を高度に組織化させながら, 刺激に大きく応答する系を実現することは, これまであまり意識されてこなかった。しかし, 生体組織と高度な機能に着目すればその重要性は明らかである。本稿は筆者らの動的な高分子組織膜に関する最近の研究を概観する。ナノスケールのアゾベンゼン系光応答性単分子膜を出発点として, 単分子膜から他のメソスケールの高分子薄膜への光情報転写, さらには光照射にてミクロスケールに及ぶ長距離物質移動が誘起される系を紹介する。いずれもアゾベンゼン部位を並べることが重要であり, この分子組織化によって分子の反応ベクトルを散逸させずに大きな効果に導くことができる。
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