オレオサイエンス
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特集総説論文
カロテノイドの腸管吸収と代謝
小竹(奈良) 英一長尾 昭彦
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2012 年 12 巻 10 号 p. 495-501

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抄録

カロテノイドは,抗アレルギー,抗がん,抗肥満作用等の特徴的な生物活性を示すことから,高い注目を集めている。日常的な食生活では,約40種類ものカロテノイドが摂取されているが,いくつかのカロテノイドと,それらの代謝産物と考えられるものだけがヒト組織中に見出される。このような特定のカロテノイドだけが吸収・蓄積されるメカニズムについては良くわかっていない。カロテノイドのような脂溶性成分の腸管吸収機構は,従来,単純拡散によるものと考えられてきたが,近年では,吸収受容体による促進拡散の関与が報告されている。このような受容体の特異性により,特定のカロテノイドが選択的に吸収されている可能性が考えられる。さらに,吸収後の代謝変換等の体内動態もカロテノイドの蓄積に大きく影響している。本稿では,食品カロテノイドの腸管吸収と代謝について最近の知見を紹介する。

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© 2012 公益社団法人 日本油化学会
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