抄録
高度不飽和脂肪酸は必須脂肪酸ともいわれ,我々はほとんど体内で合成することができないため,食品として必要量を摂取しなければならないが,高齢化に伴う食の嗜好の変化により十分量を摂取することは難しい。これを補う栄養補助食品の開発を意図して,本論文では,その効果の科学的裏付けを目的とする。本稿では主にアラキドン酸を中心とするn-6 系の脂肪酸が,脳の抗加齢食品素材として持つ効果を,行動学,電気生理学,光生理学,膜生物物理学,免疫組織化学,生化学の手法を用いて,学習・記憶と関連する脳の海馬で検討し,今後進むであろう高齢化社会において,健康な高齢者に資する健脳食品素材の提供を目指している。