オレオサイエンス
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特集総説論文
植物におけるホスホリパーゼDの生理機能
山口 武志黒田 昌治山川 博幹羽方 誠
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2013 年 13 巻 10 号 p. 471-476

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抄録

動植物の様々な生理機能にリン脂質代謝が重要な役割を果たしていることが知られている。植物では様々な環境ストレスやホルモンの情報伝達にホスホリパーゼD(PLD)が関与していることが報告されている。 植物のPLDはシロイヌナズナで12個,イネで17個の遺伝子が存在し,その構造,生化学的特性からいくつかのタイプに分類されている。イネにおけるPLD の生理機能を解析するために,個々の遺伝子の発現をRNA干渉(RNAi)で抑制したKnockdown(KD)系統を形質転換で作出しその表現形質を解析した結果,イネのPLDの一つであるOsPLDβ1が抑制されたOsPLDβ1-KD系統が,病原菌感染が無い状態で防御応答を誘導し,病害抵抗性が大幅に強化されることが明らかになった。これまで植物のPLDは防御応答の誘導の正の制御に関与していることが示されていたが,OsPLDβ1が負の制御に関わっていることは,植物ではタイプの異なるPLDが環境応答で異なる機能を有することを示唆している。本稿では植物におけるPLDの生理機能について解説する。

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© 2013 公益社団法人 日本油化学会
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