オレオサイエンス
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13 巻, 10 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
特集総説論文
  • 岩崎 雄吾
    2013 年13 巻10 号 p. 465-469
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    ホスホリパーゼD(PLD)のホスファチジル基転移反応により様々な極性基をもつリン脂質が酵素的に合成できる。放線菌由来PLDはその調製の簡便さや,幅広い基質特異性ゆえに様々なリン脂質の合成に用いられてきたが,天然リン脂質の一種であるホスファチジルイノシトール(PI)の合成はできなかった。筆者らは蛋白工学的手法を用いて元来PI合成活性を持たない放線菌PLDに同活性を付与する事に成功した。本稿ではPI合成型PLDの開発とその応用に関する最近の研究成果を紹介する。
  • 山口 武志, 黒田 昌治, 山川 博幹, 羽方 誠
    2013 年13 巻10 号 p. 471-476
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    動植物の様々な生理機能にリン脂質代謝が重要な役割を果たしていることが知られている。植物では様々な環境ストレスやホルモンの情報伝達にホスホリパーゼD(PLD)が関与していることが報告されている。 植物のPLDはシロイヌナズナで12個,イネで17個の遺伝子が存在し,その構造,生化学的特性からいくつかのタイプに分類されている。イネにおけるPLD の生理機能を解析するために,個々の遺伝子の発現をRNA干渉(RNAi)で抑制したKnockdown(KD)系統を形質転換で作出しその表現形質を解析した結果,イネのPLDの一つであるOsPLDβ1が抑制されたOsPLDβ1-KD系統が,病原菌感染が無い状態で防御応答を誘導し,病害抵抗性が大幅に強化されることが明らかになった。これまで植物のPLDは防御応答の誘導の正の制御に関与していることが示されていたが,OsPLDβ1が負の制御に関わっていることは,植物ではタイプの異なるPLDが環境応答で異なる機能を有することを示唆している。本稿では植物におけるPLDの生理機能について解説する。
  • 杉森 大助
    2013 年13 巻10 号 p. 477-484
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    著者らは放線菌由来ホスホリパーゼA1(PLA1),ホスホリパーゼB(PLB),ホスホリパーゼ D(PLD),グリセロホスホコリン コリンホスホジエステラーゼを新たに見出した。これらの酵素には,既知酵素とは異なる特性やこれまで知られていなかった有用な特長があることがわかった。本稿では,これら酵素の特性を概説し,酵素を用いた有用物質生産や体外臨床診断薬用酵素としての利用可能性について述べる。PLA1とPLBを用いて,レシチンからグリセロ-3-ホスホコリンとバイオディーゼル燃料が合成できることがわかった。また,PLA1がエタノールアミン型プラスマローゲンのsn-2位アシルエステル結合を加水分解できることを発見し,体外臨床診断薬用酵素としての利用可能性を示した。また,PLDの新たな基質特異性を見出し,PLBと併用することでコリン型プラズマローゲンを選択的に定量できる可能性を提案した。
  • 三木 寿美, 山本 圭, 村上 誠
    2013 年13 巻10 号 p. 485-491
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    脂質は(1)エネルギー源として,(2)生体膜の主要構成成分として,(3)シグナル分子として生命に必須の生体物質である。脂質メディエーターとは,生体内で合成される脂質分子のうち,細胞外の 刺激によって一過的に生合成される生理活性物質である。ホスホリパーゼA2(PLA2)は脂質メディエーター産生の初発酵素であり,膜のリン脂質から脂肪酸とリゾリン脂質を遊離する。脂質メディエーターは生体の 恒常性の維持に寄与する一方で,炎症・不妊・動脈硬化・癌などの疾病に関与する。本稿では,PLA2分子群によって制御される脂質ネットワークに焦点を当て,いくつかの代表的な疾病との関連について最新の知見を概説したい。
  • 中永 景太, 井上 飛鳥, 青木 淳賢
    2013 年13 巻10 号 p. 493-500
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    ホスホリパーゼA1(PLA1)はリン脂質グリセロール骨格sn-1位の脂肪酸を切り出す酵素である。古くから様々な細胞・組織に酵素活性が検出され,その存在は知られていたが,その分子の実態や生理・病態機能は不明であった。本稿では,PLA1の分子実態とその機能について概説する。
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