抄録
非線形界面動電現象は,印加電界と分極によって形成される電気二重層との相互作用により,電界の2乗に比例する電気浸透流を発生する現象である。従来の直流(DC)電気浸透と異なり,①交流(AC)駆動によって電気分解等のDC電圧問題を回避できること,②低電圧(~V)で大きな流速(~mm/s)が得られることより,マイクロ流体素子への応用が期待される。本稿では,マイクロ流体における線形及び非線形界面動電現象の基礎概念を解説した後,その応用例と今後の発展に重要となるイオンダイナミクスの基礎的な研究成果について,我々の研究を中心に紹介する。