オレオサイエンス
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特集総説論文
人体の非侵襲的脂質等代謝測定法の開発と評価
吉田 敏
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2013 年 13 巻 8 号 p. 365-370

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抄録

人体の脂質・脂肪酸の動態を調べるときは,通常は血液を医療機関で採取してその血清や血球中の脂質・脂肪酸を生化学的検査あるいはクロマトグラフィー法等を用いて臨床検査室において測定し,様々な病態との関連を調べることになる。これに対して,この人体の脂質脂肪酸動態をどこでも手軽に,かつ非侵襲的即時的に計測して個人の健康管理に役立つような技術を開発しよう,という試みはかなり前から行われてきた。特に,フーリエ変換赤外分光法(FTIR)などの振動分光法を用いた脂質脂肪酸測定方法の開発は有望であり,近年の測定装置の小型化と解析技術の進歩と相俟って,実用段階に入った感がある。また,リポタンパク質動態を疫学的に調べるために血清の核磁気共鳴(NMR)分光法を用いた非破壊的検査法も実用化されて久しく,盛んに疫学的研究に貢献している。このような多数の試料に対して,短時間での計測に向いた分光法を使った脂質脂肪酸の評価法の,今後の発展が期待される。

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© 2013 公益社団法人 日本油化学会
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