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特集総説論文
食品の抗酸化能 一重項酸素消去活性評価法(SOAC法)の開発
向井 和男大内 綾
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2013 年 13 巻 8 号 p. 371-378

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抄録
25種の天然抗酸化物質(8種のcarotenoid類,6種のtocopherol誘導体,ubiquinol-10,3種のcaffeic acid類,6種のcatechin類,vitamin Cを含む)に対する一重項酸素消去反応の速度論的研究がethanol/chloroform/D2O(50:50:1, v/v/v),およびethanol溶液中,35℃で行われた。抗酸化物質と一重項酸素の反応に対する2次反応の速度定数(kQ)を競争反応法を用いて測定した。一重項酸素の発生剤としてエンドパーオキサイド,紫外・可視吸収のプローブとしてジフェニルベンゾフラン(DPBF),また,基 準物質としてα-tocopherolを用いた。速度定数(kQS)およびkQt1/2))はそれぞれDPBFの減衰曲線の 一次反応速度定数(S)と半減期(t1/2)から求められ,互いに良い一致を示した。この測定法を使えば,kQS) の値がlycopeneに対する1.38×1010M-1s-1から,ferulic acidに対する2.71×105M-1s-1まで,5桁異なる 反応速度を有する脂溶性と水溶性の抗酸化物質の一重項酸素消去活性を評価することが出来ることが明らかになった。同様な測定が30種に上る食品抽出物(野菜,果物,油脂を含む)についても行われた。その結果から,天然抗酸化物質や食品抽出物の一重項酸素吸収能(singlet oxygen absorption capacity)を示す新しい評価法(SOAC法)が提案された。
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© 2013 公益社団法人 日本油化学会
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