オレオサイエンス
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13 巻, 8 号
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特集総説論文
  • 永井 利治, 後藤 直宏
    2013 年13 巻8 号 p. 355-363
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    トリアシルグリセロール(TAG)はグリセロールと3つの脂肪酸から構成される食用油脂の主成分であり,生物にとっては非常に重要なエネルギー源である。油脂の物理的,栄養学的な性質はその脂肪酸組成のみならずTAG組成に影響されるが,その脂肪酸の結合位置はランダムではなく油脂の種類に固有のものである。こうした油脂の性質を調べるためにグリセロール骨格上のsn-1,2,3位の結合位置別の脂肪酸組成が調べられている。これは油脂の全体の特徴を捉えられる優れた方法であるが,個々のTAGを見ているわけではない。これまでTAG分子種をクロマトグラフィーにより分離する種々の手法が開発されているが,近年TAG位置異性体に加え鏡像異性体も直接分離ができるようになってきた。こうした分析技術の発展によりTAGの構造に由来する栄養・物性の理解はさらに深まるであろう。
  • 吉田 敏
    2013 年13 巻8 号 p. 365-370
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    人体の脂質・脂肪酸の動態を調べるときは,通常は血液を医療機関で採取してその血清や血球中の脂質・脂肪酸を生化学的検査あるいはクロマトグラフィー法等を用いて臨床検査室において測定し,様々な病態との関連を調べることになる。これに対して,この人体の脂質脂肪酸動態をどこでも手軽に,かつ非侵襲的即時的に計測して個人の健康管理に役立つような技術を開発しよう,という試みはかなり前から行われてきた。特に,フーリエ変換赤外分光法(FTIR)などの振動分光法を用いた脂質脂肪酸測定方法の開発は有望であり,近年の測定装置の小型化と解析技術の進歩と相俟って,実用段階に入った感がある。また,リポタンパク質動態を疫学的に調べるために血清の核磁気共鳴(NMR)分光法を用いた非破壊的検査法も実用化されて久しく,盛んに疫学的研究に貢献している。このような多数の試料に対して,短時間での計測に向いた分光法を使った脂質脂肪酸の評価法の,今後の発展が期待される。
  • 向井 和男, 大内 綾
    2013 年13 巻8 号 p. 371-378
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    25種の天然抗酸化物質(8種のcarotenoid類,6種のtocopherol誘導体,ubiquinol-10,3種のcaffeic acid類,6種のcatechin類,vitamin Cを含む)に対する一重項酸素消去反応の速度論的研究がethanol/chloroform/D2O(50:50:1, v/v/v),およびethanol溶液中,35℃で行われた。抗酸化物質と一重項酸素の反応に対する2次反応の速度定数(kQ)を競争反応法を用いて測定した。一重項酸素の発生剤としてエンドパーオキサイド,紫外・可視吸収のプローブとしてジフェニルベンゾフラン(DPBF),また,基 準物質としてα-tocopherolを用いた。速度定数(kQS)およびkQt1/2))はそれぞれDPBFの減衰曲線の 一次反応速度定数(S)と半減期(t1/2)から求められ,互いに良い一致を示した。この測定法を使えば,kQS) の値がlycopeneに対する1.38×1010M-1s-1から,ferulic acidに対する2.71×105M-1s-1まで,5桁異なる 反応速度を有する脂溶性と水溶性の抗酸化物質の一重項酸素消去活性を評価することが出来ることが明らかになった。同様な測定が30種に上る食品抽出物(野菜,果物,油脂を含む)についても行われた。その結果から,天然抗酸化物質や食品抽出物の一重項酸素吸収能(singlet oxygen absorption capacity)を示す新しい評価法(SOAC法)が提案された。
総説
  • 鈴木 孝宗, 山内 悠輔
    2013 年13 巻8 号 p. 379-386
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    メソ多孔体合成の基本コンセプトは,分子集合体を鋳型として,鋳型の周りで無機種の反応を行うことでメソ構造体を合成し,最後に鋳型除去によりメソ細孔を生成するというものである。メソ多孔体は,合成条件を変えると,構造・組成・形態の多様化が比較的容易に展開でき,現在まで合成研究はもとより構造評価から触媒・吸着剤・光学材料をはじめとする様々な応用まで多岐にわたり展開されている。細孔壁組成も多様化し,ハイブリッド系や有機系などへも展開され,金属系も可能となってきた。我々も,従来の合成法にはとらわれない新しい合成コンセプトを提案し,新しいメソ(ナノ)多孔体の開発を行っている。 本稿では,組成の多様化という切り口で,現在までの研究をハイライトするとともに,我々が最近開発している新しい多孔体の合成アプローチに関しても触れる。
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