オレオサイエンス
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特集総説論文
バイオミネラリゼーションに学ぶ有機/無機複合体の設計と合成:高分子およびマグネシウムイオンによる炭酸カルシウムのモルホロジー制御
西村 達也朱 方捷伴野 秀和灘 浩樹加藤 隆史
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2014 年 14 巻 10 号 p. 417-423

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抄録

真珠層や歯,骨に代表されるバイオミネラルは複雑な構造をもつ高強度の有機無機複合体である。この形成過程において,生体高分子と無機イオンの相互作用が精密な結晶化にとって重要な要素である。本稿では,バイオミネラリゼーションに学び,高分子を用いる有機無機複合材料の開発について述べる。我々はポリアクリル酸存在下,不溶性高分子を用いる炭酸カルシウム薄膜結晶の形成を開発してきた。ここでは,実験と分子シミュレーションとの組み合わせについても紹介する。例えばマグネシウムイオン存在下,炭酸カルシウム結晶前駆体の分子動力学計算を行い,マグネシウムイオンが炭酸カルシウムの結晶化を阻害している様子が計算された。これらの研究はバイオミネラルの形成過程にならう手法によって,新しい複合材料を開発するアイデアにつながると期待される。

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© 2014 公益社団法人 日本油化学会
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