オレオサイエンス
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特集総説論文
脂肪摂取と2型糖尿病
長尾 元嗣浅井 明杉原 仁及川 眞一
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2015 年 15 巻 2 号 p. 69-78

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抄録

糖尿病患者数の増加は世界的な問題となっており,2035年にはおよそ6億人に到達すると予想されている。特にアジア太平洋地域での2 型糖尿病患者数の増加は顕著であり,アジア人特有の低インスリン分泌能という遺伝的背景に加えて,食習慣の欧米化や身体活動量の低下といった生活環境の変化がその主因と考えられている。本邦を含む,東アジア諸国では脂肪摂取量が半世紀で約3倍に増加しているが,脂肪摂取量の増加が2型糖尿病の発症を増加させるか否かについては現在も一定した見解は得られていない。 本稿では,脂肪摂取と2型糖尿病発症に関する臨床的・基礎的な知見を整理すると共に,筆者らが選抜交配により作出した高脂肪食投与時の耐糖能が異なる新規モデルマウスの解析結果を紹介し,脂肪摂取量の増加という現代の食環境下での2型糖尿病発症を決定する要因について考察したい。

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© 2015 公益社団法人 日本油化学会
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