オレオサイエンス
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受賞論文
DGF公定法中でのモノクロロプロパンジオール類の動態と定量における問題点
佐藤 博文
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2016 年 16 巻 4 号 p. 173-182

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抄録

モノクロロプロパンジオール(MCPD)類やグリシドールは油脂精製過程に発生する不純物である。DGF 公定法は油脂中の3-MCPD(エステル)の量あるいはグリシドール(エステル)の間接定量法である。DGF公定法では誘導体化の過程でアルカリ処理と酸処理を行うが,MCPDとグリシドールが相互変換し,定量性が失われる可能性が指摘されていた。DGF公定法中の物質変換をNMR法で直接観測したところ,3-MCPDは一部がいったんグリシドールに変換されるものの,誘導体化の段階で3-MCPDに再変換されていることがわかった。また,3-MCPDからグリシドールが生成する量と,そのグリシドールから3-MCPDが再生成する量がほぼ等しいため,定量結果が見かけ正しくなっていることを明らかとした。

3-MCPDの異性体である2-MCPDについて純粋な標品を合成し,2-MCPDもDGF公定法で定量できることを明らかとした。また,3-MCPDと同様に,2-MCPDの公定法中での物質変換についてもNMR法で直接観測し,グリシドールを経由して2-MCPDに再変換されていることを明らかとした。

3-MCPDホウ酸エステル(3-MCPD-PBA)と2-MCPD-PBAのEIイオン化におけるフラグメントに着目し,3-MCPD-PBAのフラグメント化の割合と2-MCPD-PBAの3-MCPD-PBAに対するみかけのイオン化効率比から,内部標準物質(2-MCPD-d5)も純粋な標品(2-MCPD)も必要とせず油脂中の2-MCPDを定量することのできる式を提案した。

本稿ではこれらの研究内容について紹介する。

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