オレオサイエンス
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特集総説論文
吸入特性と遺伝子発現能に優れた遺伝子吸入粉末剤の開発
岡本 浩一
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2016 年 16 巻 6 号 p. 293-301

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抄録

正常マウスにマウス大腸癌細胞CT26を尾静注することで,肺転移癌モデルを作成した。マンニトールを賦形剤,キトサンをベクターとしたマウスインターフェロンβ遺伝子吸入粉末剤を超臨界二酸化炭素晶析法で調製し,肺転移癌モデルの気管内に投与したところ,有意な癌増殖抑制が認められた。次に,ホタルルシフェラーゼをコードしたpCAG-Lucをレポーター遺伝子とし,ベクターにPAsp(DET)もしくはPEG-PAsp(DET)を用い,マンニトールにロイシンを5%添加した吸入粉末剤を噴霧急速凍結乾燥法で調製した。ロイシン添加により吸入特性が大幅に改善され,さらにマウス肺内でのルシフェラーゼ活性は,PAsp(DET)製剤でキトサン製剤の50倍以上となった。以上,ベクターと添加剤の選択により,遺伝子吸入粉末剤の遺伝子発現効率が大きく改善できることが示された。

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© 2016 公益社団法人 日本油化学会
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