オレオサイエンス
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特集総説論文
リピッドバブルによる超音波セラノスティクス
丸山 一雄
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2016 年 16 巻 6 号 p. 285-291

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抄録

診断(Diagnostics)と治療(Therapeutics)を融合した“セラノスティクス(Theranostics)”は,この言葉通り治療と診断を同時に行うシステムである。診断用装置の中で超音波造影装置は,小型でベッドサイドにも運搬可能,非侵襲的,比較的安価,リアルタイムイメージングが可能などの多くの利点を有し,セラノスティクスを構築する上で有望なエネルギーとして捉えられる。我々は,超音波セラノスティクスの構築を目的に,リポソーム技術を駆使した新たなバブルリポソームを開発した。このバブルリポソームに超音波を照射すると,超音波の周波数や強度に応じてバブルリポソームが振動したり圧壊したりと様々な振る舞いをし,超音波造影だけでなく,薬物や遺伝子を細胞に導入することが可能である。また,腫瘍新生血管の開口による薬物送達や血栓溶解も可能である。本稿では,バブルリポソームと超音波による超音波セラノスティクスを紹介する。

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© 2016 公益社団法人 日本油化学会
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