2017 年 17 巻 1 号 p. 5-13
N-アシルイミンは高い反応性を有するビルディングブロックとして合成化学分野において幅広く利用されている。本稿では,これまで合成例のない二官能基化N-アシルイミンの開発を目指し,対応する前駆体の合成とイミンの発生,およびその反応について検討した結果を紹介する。前駆体の合成では隣接トリカルボニル化合物の高い求電子性に着目し,金属試薬等による活性化を必要としない実用的な酸アミドの直接求核付加反応を見出した。また,O-アセチル化-N,O-ヘミアセタールをN-アシルイミンの安定な前駆体として位置づけ,種々の求核剤との反応を行なった結果,効率よく反応し付加体を与えることを明らかにした。さらに生成物の官能基変換も行なったので併せて紹介する。