オレオサイエンス
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特集総説論文
半固形製剤と経皮Drug Delivery System
-局所作用や全身作用を目的とした貼付剤の有用性-
山内 仁史
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2017 年 17 巻 11 号 p. 559-565

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抄録

貼付剤としてのパップ剤と経皮吸収製剤の有用性について示す。ケトプロフェン含有パップ剤はアルミニウムとポリアクリル酸ナトリウムからなる網目構造からなる水和ゲルであり,ケトプロフェンのパップ剤中からの放出や皮膚への吸収は良好である。マイクロダイアリシス試験によりミニブタでの経皮吸収性の実験を行ったところ,パップ剤適用部位において,ケトプロフェンの経皮吸収性が認められ,局所投与の効果が確認された。また粘着力試験法も新たに日本薬局方に収載され,よりエビデンスの高い製剤となろう。経皮吸収製剤の開発において添加物としての粘着剤は重要である。新規アクリル系粘着剤のAAEM-adを開発し,ツロブテロールをモデル薬物としたときに,薬物の放出性や皮膚透過性は良好な結果を示した。 さらに経皮投与時のヒトでの血中濃度を既販売の製品と比べたときに,生物学的同等性が得られた。第17改正日本薬局方では粘着力試験法が,皮膚適用製剤の放出試験方法とともに収載され,より高いエビデンスのある製剤として確立されてゆくであろう。

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© 2017 公益社団法人 日本油化学会
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