2019 年 17 巻 4 号 p. 171-178
食用油脂,食品中の2-/3-MCPD脂肪酸エステル,グリシドール脂肪酸エステルの分析法が各国で開発されている。個々のエステルをLC-MSで測定する直接法,加水分解された遊離型である2-/3-MCPD,グリシドールをGC-MSで測定する間接法がある。間接法は,2-/3-MCPD,グリシドールエステルについて,それらの遊離型相当量として同時に定量できる利点がある。加水分解にCandida rugosa由来リパーゼを用いる酵素法は,エステルの加水分解は0.5時間で完了し,かつ,分析試料や検量線の調製が簡便であるため,現在ある間接法の中で最も迅速な方法である。日本油化学会は,13機関による合同試験を実施し,良好な室間再現性を得た。本法は,基準油脂分析試験法に基準法2.4.14として2016年に登録された。