オレオサイエンス
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総説
コリンの生理機能の一側面:トリメチルアミン-N-オキサイド
菅野 道廣
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2017 年 17 巻 5 号 p. 217-222

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抄録

本誌17巻第2号(2017)に掲載されたビタミンとしてのコリンの生理活性についての日比野の論文1)は関連分野の理解に大いに資するものであが,コリンの代謝産物で,健康と関わりがあるトリメチルアミン-N-オキサイド(TMAO)に関しては割愛されている。 摂取したコリンの一部は腸内細菌によってトリメチルアミンに変換され体内に取り込まれ,肝臓においてTMAOに変換され,動脈硬化の危険因子となることが指摘されている。したがって,TMAOは安全性と関わる成分でもある。実際には,コリンはそのものとしてよりも大部分がホスファチジルコリン(PC)として摂取れているが,PCは動脈硬化予防的に働くことが指摘されていて,問題は複雑である。卵はコリンのよい供給源であり(Lタイプで147 mg),1 日1~2個程度の摂取では血清中のTMAOレベルの上昇は認められないようである。腸内細菌との関わりは,コリンの認知機能とも結びつく興味深い話題の1つでもある。

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