2017 年 17 巻 6 号 p. 253-259
こめ油は,一般的なビタミンEであるトコフェロールに加えて,スーパービタミンEとして注目されるトコトリエノールを含む数少ない植物油である。しかし,現行のビタミンEの分離は,高温での多段分子蒸留を主体とするプロセスで行われているため,熱による分解損失によって回収率が低く,沸点の差による分離選択性が低いため不純分混入量が大きく,これらがコスト高の原因となっている。特に,熱安定性の低いトコトリエノールの分離は困難であり,普及の大きな障害となっている。この問題解決を目的として,様々な分離プロセスの開発が行われている。本稿では,超臨界抽出や吸着・脱離を用いた新たな分離プロセスの特長と適用例を紹介する。