オレオサイエンス
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特集総説論文
バクテリアの細胞外ナノ構造体を利用した選択的伝達
田代 陽介
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2018 年 18 巻 5 号 p. 221-225

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抄録

多くの原核細胞は真核細胞と同様に細胞外にナノ構造体を放出することが知られている。タンパク質とリン脂質二重層から構成されるこの構造体はメンブレンベシクル(MV)と呼称される。MVは,遺伝情報やタンパク質を含んでおり,生理活性を有している。近年のMV研究の発展により,MVは遺伝子水平伝播やバクテリアの捕食,細胞間コミュニケーションなど,微生物間相互作用に重要な役割を担っていることが明らかになってきた。しかし,どのような微生物間でMVを介した伝達が行われているのか,不明な点が多い。本総説では,MVが特定のバクテリアに情報を伝達する例を紹介する。また,MVに抗生物質を保持させることで,標的のバクテリアを選択的に殺菌することが可能であった。バクテリア由来のMVは,ドラッグデリバリーシステムなど多岐にわたるバイオテクノロジーツールとして有望であり,本研究はその開発に大きく貢献する知見となり得る。

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