オレオサイエンス
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特集総説論文
脂溶性食品成分の腸管吸収機構と生体利用性
室田 佳恵子
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2018 年 18 巻 8 号 p. 393-399

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抄録

食事由来脂溶性成分の吸収経路は水溶性成分のそれとは異なっている。小腸管腔におけるミセルの形成は疎水性成分が吸収されるためには重要なステップである。腸管細胞の刷子縁は不撹拌層で覆われているため,疎水性の成分はミセルに組み込まれることで小腸上皮に到達することが可能となる。刷子縁に到達すると,脂溶性成分は単純拡散,あるいは膜タンパク質介在性輸送により細胞内へ取り込まれる。生体への吸収されやすさや蓄積されやすさは,その成分の脂溶性の程度に依存する。本項では,トリグリセリドやリン脂質といった食事性脂質の吸収過程を簡単に解説する。さらに,我々が行っている研究として,弱い脂溶性を有する食事性フラボノイドの生体利用性についても紹介したい。

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© 2018 公益社団法人 日本油化学会
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